ネット黎明期に登場し、有名になった伝説的Webサイト「愛の妖精ぷりんてぃん」。
30代前後の方は、たぶんご存知なのではないでしょうか。
広く知られるようになった2004年当時の様子
実は先日、「ぷりんてぃんのソースコードには遊び心がある」というウワサを聞いたんですが……実際に調べてみたら、知らなかった事実がわんさか出てきてしまいました。
そんなわけで、今回はWikipediaには載っていない「愛の妖精ぷりんてぃんの七不思議」をご紹介します。
愛の妖精ぷりんてぃんの基礎知識
若い人は知らないかもしれないので、ざっくり解説しておきましょう。
「愛の妖精ぷりんてぃん」は、未女子日女(みめこひめ)という女性が作ったオリジナルキャラクター「ぷりんてぃん」をメインコンテンツとするWebサイト。
ぷりんてぃんは人間の心に眠る愛の妖精という設定になっており、ハートマークを2つ組み合わせた形をしています。
変わったサイトは数多く存在しますが、未女子日女さんの顔写真が大きく表示され、BGMとしてその肉声が流れるこのサイトは、大きな話題になりました。
このサイトのスゴさがピンと来ない方は、こちらのネットラジオを聞いてみてください。
■愛の妖精ぷりんてぃんの七不思議
その1.ソースコードに謎のメッセージ
Webサイトだけでなく、実はソースコードにも仕掛けがあります。
愛の妖精ぷりんてぃん 公式ホームページのソースコードより
冒頭にジョジョネタを使ったアスキーアート。
まあ、これだけならよくあるネタなんですが、さらに詳細に見ていくと「このページ制作の背景のようなもの」をまとめたという文章に関する情報が掲載。
テーマは「なぜ『Yahoo!』『Google』ですら『マスメディア』になれないのか?」。え、そんな難しいことを考えながら作ってたの?
その2.15年近く更新を続ける驚異の持続力
古いWebサイトが見られるサービス「Wayback Machine」を利用して過去の情報を調べてみたところ、開設されたのはおそらく2001年2月4日。
かなり長い歴史があります(ちなみに、Google検索が日本語対応したのは約半年前の2000年9月)。
しかし、今でも根強く更新しており、今でも未女子日女の肉声を収録したBGMを週1ペースで更新しています。
僕が聞いたときは「菜箸の先を削ると使いやすい」という生活情報を紹介していました。ぷりんてぃんとは、まったく関係ありません。
その3.精力的なキャラクタービジネス
Wikipediaを見ると、2004年頃、ぷりんてぃんをデザインしたお守りなどを販売していたと書かれていますが……。
2006年の様子
実はデジタルノベルを制作していた時期もあります。タイトルは「愛と幸せの妖精ぷりんてぃん まじかる☆エンジェルズ」。
au公式サイト「そらゆめBOOKS」で配信し、販売ランキング1位を獲得していたそう。さすがはぷりんてぃん、そのへんのWebサイトとは底力が違う。
体験版が今でもダウンロードできたので、実際に読んでみました。
チンピラを「心の汚れたエンジェルさん」と呼びつつ、「あなたに愛のきらめきよ!」という掛け声とともに撃退。なんというか、上級者向けの内容になっている模様です。
ぷりんてぃんLINEスタンプ第2弾、発売開始しました☆ きらめく宝石が、あなたに幸せなめぐり会いをもたらします☆ #72才の挑戦
詳細はこちら https://t.co/6x5dM2QRcc pic.twitter.com/DyhckO5Ffh— 未女子日女 with ぷりんてぃん (@mimeko_hime) 2016年6月11日
ちなみに現在は、LINEスタンプ(第2弾)の販売を行っています。
2016年現在、未女子日女は72歳と高齢。しかし、ぷりんてぃんへの情熱は衰えていないようです。
その4.現在はニュースのキュレーションサービスをやっている
「愛の妖精ぷりんてぃん」では現在、Web記事のキュレーションサービスを行っています。
2ちゃんねるまとめから海外ニュースまで見られ、なかなか充実していますが……愛の妖精とはまったく関係なくない?
2015年頃には、おすすめのユーチューバーとしてHIKAKINさんを紹介。トレンド、抑えてますね~。
その5.実は昔からニュースのキュレーションサービスやってた
実は、ニュースのキュレーションサービスは以前からやっています。ただし、その関連サイト「たかまがはらねっとランド」で。
2009年の様子
このサイトは少なくとも1999年からレイアウトを大幅に変えながら運営されており、「愛の妖精ぷりんてぃん」では「親サイト」と表現されています。
その6.「たかまがはらねっとランド」ではぷりんてぃんはサブキャラクター
2000年のたかまがはらねっとランド
「たかまがはらねっとランド」には、日本神話をテーマにしたといろいろなキャラクターが掲載されているのですが……。
日本神話とは無関係なぷりんてぃんまでこっそり混じっています。
僕の推測ですが、「たかまがはらねっとランド」の一部キャラクターだけをスピンオフしたコンテンツとして「愛の妖精ぷりんてぃん」がスタートしたのだと思われます。
その7.サイトの運営を行っているのは埼玉県の企業だった
開設当時の「愛の妖精ぷりんてぃん」では、「ジーズオフィス あまてらす」という企業が著作権保有者になっています。
この企業の所在地は埼玉県で、Webサイトは今でも残っています(ざっくり確認した感じ、2011年で更新停止しています)。
「愛の妖精ぷりんてぃん=愛生会病院のようなヘンテコな個人サイト」と思っていた人が多いと思うのですが、実際には企業発信だったようです。
2000年代初頭からネットでキャラクタービジネスを展開するって、けっこう時代を先取りしてませんか?
ちなみに「愛の妖精ぷりんてぃん」は商標登録されているそう。企業だもんね、それ大事。