ブロス編集部です。
編集部メンバーがここ最近読んで面白かった漫画を紹介するコーナーのお時間です。題して「今月の読良漫(よよまん)」です。
それでは早速2020年4月に編集部メンバーの「読良漫(よよまん)」をご紹介しましょう。
■原始にリセットされた世界で故郷を目指す!「望郷太郎」
望郷太郎(山田芳裕)
【オススメ人:原宿】
「度胸星」「へうげもの」の山田芳裕先生の最新作です。
地球が大寒波に襲われ、文明が『初期化』されるというお話で、金と地位に物を言わせて冷凍睡眠装置に入り、難を逃れたエリートビジネスマンが主人公。500年後に目覚めた彼を迎えたのは、わずかに生き残った人間たちが原始の狩猟採集生活に「リセット」された世界だった。
地位も財産もその意味をなくし、誰も自分のことを知らなくなった世界で「死んでもともと」と、故郷の地を目指す旅が始まりますが、資本主義文明の名残りが残る世界で、近代的な科学知識を持つ人間は“望郷太郎”ただ一人。
まだ1巻しか出てないので今後どうなるか分かりませんが、「望郷」とは主人公が家族や故郷を思う気持ちにくわえ、人類が時間をかけて辿ってきた進歩の歴史を辿る道でもあるはず。壮大なロマンの予感がして、今後がとても楽しみな漫画です。
2巻は5月発売予定とのこと。読み始めるなら今!第1話はこちらで読めますよ。
■すでに看板漫画の風格!「アンデッドアンラック」
アンデッドアンラック(戸塚慶文)
【オススメ人:かまど】
「なんで新人にこんな漫画が描けるんだ!?」「この作者は何者だ!?」と噂になっている週刊少年ジャンプの新連載。
4月に単行本1巻が出たばかりですが、すでに、今後ジャンプの看板漫画になるんだろうなと思わせる風格のあるすごい漫画です。ジャンプで言えばHUNTER×HUNTER、サンデーで言えば金色のガッシュ、マガジンで言えばRAVEが始まった頃と同じワクワクを感じます。
触れた者に不運を与えてしまう体質を持つヒロインと、不死の体を持つ死にたがりの男が出会う物語。男は死ぬためにヒロインに触れて致死性の不運を浴びたい。ヒロインは乙女だから体に触れられたくない。
そんな名コンビが謎の組織に目をつけられ、トンデモない規模の能力者バトルに巻き込まれていきます。
敵の能力を見破り攻略していく頭脳戦、見開きドカーン!の大迫力&爽快アクションなど、「そうそう! こういうのが見たかったんだよ!!」な描写のオンパレード!悪い意味じゃなくマジで”古き良き”王道の少年漫画です。
まだ1巻しか出ていないので未読の方もすぐに追いつけます。今のうちに読んでおけば「あ〜俺、アンデッドアンラックは1巻出た頃から読んでたよ」と自慢できる作品になるはずです。
ちなみに、6月に発売予定の2巻では、この漫画がモノスゴイことをやろうとしていると思い知らされる回が収録される予定。みなさんにも、ぜひリアルタイムで楽しんでほしいです。
第1話は「ジャンププラス」で試し読み可能!皆も今のうちに追いつこう!
■人間を食ってる…!?「ガンニバル」
ガンニバル(二宮正明)
【オススメ人:山口】
インスタグラムを見ていたら広告で流れてきたので読んでみたら、続きが気になりすぎてコミックスを購入していました。
主人公は都会からとある山間の村にやってきた駐在さん。猟銃突きつけて「冗談」とか言ったり、なんかひとクセある村人が多いな〜と思いながら過ごしていたのですが、とある事がきっかけである疑いを持ち始めます。
こいつら、もしかして人食ってね??
行方不明になった前任の駐在、柱に刻まれた「逃げろ」という言葉、村人たちも深く関わろうとしない後藤家の存在、「あの方」と呼ばれる老人……などなど、サスペンスな要素がどんどん出てくるのですが……。
何よりも心にズシンとくるのは田舎ならではの「ヨソ者への嫌な接し方」。ちょこちょこ圧かけてきたり、嫌がらせしたりするんですよね。これがンマ〜〜〜〜気分悪い。
そんな時、いつも想像するんです。
「もし主人公が悟空だったらな」って。
猟銃突きつけられて、そのまま額を撃たれても「いっち〜〜〜〜!」で済ませる悟空。ちょっと嫌味を言われても「やだな〜もう!」でバシンと背中を叩けば、そいつは山を1つも2つも越えて飛んでいく。勝手に家に上がりこんでくるやつがいれば、後日そいつの家に瞬間移動で上がり返す悟空。何度も何度も瞬間移動で上がり直す悟空。
最終どうしようもなくなったら、ベジータとフュージョンしてゴジータと化し、ファイナルフラッシュとかめはめ波を合体させた奥義「ファイナルかめはめ波」で村ごと消し飛ばすこともできる。
やっぱり最後に頼りになるのはフィジカルだな、と本作は気づかせてくれます。
そういうわけでドラゴンボール、オススメです。
どういう結論?第1話は「ピッコマ」にて!
■超絶トリップ描写!「ウルトラヘヴン」
ウルトラヘヴン(小池桂一)
【オススメ人:かんち】
普段あまりマンガを読まないのですが、続編の発売を首を長~くして待っている作品があります。「読むドラッグ」「ペーパー・ドラッグ」といった謳い文句で、全国のヴィレッジヴァンガードに陳列されていた小池桂一氏による作品「ウルトラヘヴン」です。現在3巻まで発売されています。
街中の人々が当たり前のようにドラッグを使って独自の精神世界を楽しんでいる、そんな薬物が合法化された近未来の日本が舞台のお話。
バリバリの薬物中毒者の主人公カブが、売人に“特製”として勧められたドラッグ(ウルトラヘヴン)によって超絶トリップしてしまい、現実なのかラリっているのか、その境界が曖昧になり…というのが1巻のあらすじです。
この漫画の何が好きかと言うと、とにかく主人公が見る「トリップした世界」の圧倒的な描画力!体に当たる雨粒のひとつひとつを感じ取れる研ぎ澄まされた感覚や、目を閉じると蓮の実のように目玉が現れて感じる恐怖、体がふわっと宙を浮き世界を自由に飛び回る爽快感など、まるで本当に幻覚を見ているかのような、そんな疑似体験をこのマンガを通して知ることができ、強めの酒を飲みながら何度も何度も読んでいました。
しかし続きが全く出ない!
1巻が出たのは2002年。その3年後の2005年に2巻が発売され、最新巻の3巻は2009年発売です。それから11年経とうとしている今も4巻が出る気配は全くありません。本編のストーリーはまだまだ途中。
早く描いてくれとは言いませんが、自分が死ぬまでには次の巻が読みたいです。
かんちが死ぬ前に4巻早く出して〜!こちらも「コミックシーモア」で第1話が無料!
■今読んでも色褪せない暖かさ!「Papa told me」
Papa told me(秦野なな恵)
【オススメ人:ヤスミノ】
ストーリーは単純、というか何か大きな目的があるタイプの漫画ではないです。小学生の女の子「的場知世」と、その父親である作家の「的場信吉」、そこにまつわる様々な人たちの日常を描いた基本的に1話完結の物語です。
めちゃくちゃ良い漫画なのですが、あらすじを説明するだけだと地味な漫画だと思われそうで(実際、地味といえば地味なのですが)、人に勧めるとき難しいんですよね。上記のストーリーから連想されるような「ほのぼの家族漫画」なだけでなくて、作品を通して「自主性を尊重する」という断固たる主張が貫かれていて、30年以上前に始まった作品ですが現代においても古びない魅力を持っていると思います。
あと物事のディテールの本当に描き方がすごくて、僕が腰抜かすぐらいびっくりしたシーンがあります。父親が主人公の知世に着物を買い与える話で、知世は着物を買ってもらったことにも喜ぶんですが、
「ひゃー 今まで着てた服をこんなにちゃんと包んでもらっちゃった」
「なんかわるいみたい!」
と「お店の人に今まで着てた服をちゃんと紙袋に包んでもらった」ことに感心しつつ、少し照れるんです。これすごくないですか?普通「今まで着てた服をちゃんと紙袋に包んでもらった」ことと、それに対する反応をわざわざ描写しようと思いますか?この描写は別に重要なシーンではなく、なくても漫画としては十分成立するんです。
でもこんな見逃してしまいそうな日常のささやかな感情の積み重ねを丁寧に描くことで、漫画としての立体感が増すんだなあと感動しました。
第1話試し読みは「コミックシーモア」にて!
■また来月
また来月、「読良漫(よよまん)」をご紹介させていただきます。
それではさようなら。