道端でネコを見かけると興奮してしまう。

ネコちゃんのかわいらしさに加えて「こんな近くに生き物が……、ネコがいる!」という驚きも混じった興奮だ。

というのも、これまで人生で一度も動物を飼ったことがなく、未だに動物は動物園で見るものという感覚があるからだと思う。

あと、私がネコアレルギーを持っているのもある。かわいくてたまらない、撫でたいけどアレルギーで触れない、ネコに対してこういう葛藤があるのだ。

そのせいか動物の中でも特にネコは、触れてはならぬかわいい生き物として私の中でどんどん神格化が進んでいる。

 

 

 

触れない代わりに遠くから呼びかけたり(当たり前だけど無視される)

 

 

遠近法を利用しておさわりさせてもらう

 

 

2匹同時におさわりする技も編み出した

 

 

 

このようにいつも心のどこかでネコを求めて歩いているので、道端で不意にネコを見つけようものなら大変興奮してしまう。

 

ある日の帰宅途中もそうだった。なんとなく思いつきでいつもと違う道を歩いていると、いたのだ。ネコが。かわいいかわいいネコちゃんが隅っこのほうで座っていた。

辺りが暗くて麗しいお姿がよく見えなかったので、小走りかつ中腰でネコに近づいた。

 

 

 

草だった。

ネコちゃんだ~ひょいひょいひょい~と中腰で近づいていったら、ただの草だった。すごく恥ずかしい。

コンクリートの隙間から生えてくる生命力を称えるべき強くて立派な草だが、私にとってはネコちゃんトラップだった。だまされた、悔しい。

 

だけど一度ネコに見間違えたからだろうか。悔しさを覚えつつも、この草が何だか気になるようになってしまった。