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1000作品以上集めてわかった「マンションポエム」に隠された“ワナ”

2018/12/18
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 マンションポエム。マンション広告に見られる詩的なキャッチコピーのことをぼくはそう名付けた。「洗練の高台に、上質がそびえる」(野村不動産「プラウドタワー白金台」)といった名調子のことだ。折り込みチラシや、駅や電車内の広告などでよく見かける。物件のアピールの域を超えたその表現は、ポエムと呼ぶにふさわしい。

©iStock.com

 ぼくはここ数年、よせばいいのに、このマンションポエムを精力的に収集しており、ハードディスクにはポエム画像がたくさんたまっている。

タカラレーベン「レーベン高崎GRADIA」ウェブサイトより
野村不動産「プラウドタワー木場公園」ウェブサイトより
三井不動産レジデンシャル「パークホームズ南麻布ザレジデンス」ウェブサイトより

 数えたところ、これまでに集めたマンションポエムは1148物件。一番古いものは2004年のものだ。中でも、お台場海浜公園駅のそばに建つツインタワー「THE TOWERS DAIBA」のポエムが印象的だった。

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「『惑星』のような輝きを放つ」

オリックス・リアルエステート株式会社/東京建物株式会社/阪急不動産株式会社「THE TOWERS DAIBA」ウェブサイトより

「『惑星』のような輝きを放つ」という表現に、それは惑星と言うより恒星ではないのか、と思ったのをよく覚えている。以来十数年。「もうぼくが驚くようなポエムは出てこないだろう」と思うのだが、そんな悲観的な観測を覆す逸品が毎年必ず出現する。業界の「詩人」たちには敬意を表する。

 ぼくが収集の対象としているのは分譲マンションだ。ポエムを謳うのはおおむね4000万円以上の物件であることがわかった。全国にマンションポエム付き物件があるが、東京や大阪、名古屋を中心とした都市に限られる。ちなみに海外にもある。