今日は8月12日。

全国高等学校野球選手権大会が始まり日本中が盛り上がっていますが、そんな中皆さんはいかがお過ごしでしょうか。

 

 

「夏大好き!最高!」「今年は帰省しようかな~」「暑くて大変……」

 

きっと皆さん色々なことを考えていると思います。その頃一方、俺は全国高等学校野球選手権大会の予選を見た影響でずっとこんなことを考えていました。

 

 

 

高校球児が甲子園出場を目指して全力でプレイしている姿を見ていたら、だんだん自分も「やってみたい!」と思うようになってきました。

 

しかし……

 

 

 

野球を始めるのってしっっっかり金がかかるんですよね。例えばバット。バットっていくらくらいすると思いますか?

 

試しにamazonで木製バットと検索してみましょう。

すると木製バットの相場は4000円~数万円であることが分かります。しかも安いバットは大体少年野球用で、22歳の俺が扱うようなバットは普通に1万円を超えてきます。(あくまでamazonを参考にした情報です)

 

 

初心者が軽い気持ちで始めるだけなのに道具が1万円~数万円、もしも長続きしなかった時の金銭的・精神的ダメージがデカいです。

 

 

木製バット高いな…… でも野球はしたい……

 

どうしよう…… どうにかして費用を抑えなきゃ……

 

それに精神的ダメージも負わないようにしたい……

 

 

そうだ!!!

自分で作れば良いんだ!!!

 

 

 

自分で作れば費用を抑えられますし、買ったバットよりも愛着が湧いて野球を続けたくなるのではないでしょうか。費用が抑えられて、それでいて野球を辞めるリスクが下がって金銭的・精神的ダメージを負わなくて済むなんて最高ですね!

 

ということで今回は木製バットを作ります!

 

 

 

実際に作ってみる

 

早速ホームセンターの資材売り場で角材を探します。すると柔らかくて扱いやすい角材、硬くて丈夫な角材、腐りにくい加工が施された角材など、様々な角材がズラーっと並んでいました。

 

恐らくバットを作りやすいのは柔らかい角材ですが、ボールを打ったときに割れてしまうリスクが高くなります。逆にリスクを考えると固くて丈夫な角材ですが、作る難易度は高くなります。

 

 

 

しばらく悩んだ結果、「よく考えたらこだわりの1本ではなく費用を抑えた1本を作りたいんだった」ということを思い出して、最も安い角材に決めました。

 

この角材は赤松という木らしく、ネットで検索すると柔らかくて軽いとも硬くて重いとも紹介されていました。真逆じゃねえか。

 

 

特徴が掴めず少し不安ではありますが、勇気を出してバット作りを開始します。

 

 

まずは実際のバットとサイズを比較します。

 

あ、すみません。言うのが遅れてしまいましたが、俺バット持ってます。

 

しかし10代の頃の悪ノリで釘バットに改造してしまい、しかもその釘を接着剤で固定してしまったので二度と元のバットには戻せなくなりました。ですので現在はバットの基準を測る武器として振り回すかの2通りでしか使えません。

 

とりあえずバットの長さを測って、角材をそれと同じ長さに切ります。

 

 

 

ギコギコギコギコギコギコギコギコ!!!

 

 

 

数分後、バットの長さになりました。

 

正直この時点で既に「おっ!バットっぽいな!」と感じていたのですが、今こうして画像を見返すとガッツリ角材ですね。このままでは角材過ぎるので、どんどん工程を進めます。

 

やはりバットといえば先端が太くて、グリップが細くなっているあの形状ですよね。ですので、次の工程ではバットの太さを決めます。

 

 

 

釘バットを基準に幅を測って、角材に印をつけました。この印に沿ってノコギリをギコギコギコギコすれば、きっと角材らしさは無くなり堂々と「おっ!バットっぽいな!」と言えるようになります。

 

それでは早速ノコギリを、

 

ギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコ(中略)ギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコ……

 

 

 

全然切れません。

 

正確には頑張れば切れるものの、機嫌が悪くなるくらい疲れます。角材が切れにくくてキレるってか!カァーーー!

 

くそーマジで疲れる!どうすんだこれ!このままじゃ野球やりたくなくなってくるな!やりたくなくなってきちゃうなー!お~~~い!!!俺がやる気無くしちゃうよ~~~!!!良いの~~~!?!?!?このままだと俺がやる気無くしちゃうよ~~~!!!誰か~~~!!!助けてくれ~~~!!!

 

 

 

このままでは疲労とストレスで自分が崩壊してしまう気がしたので電動ノコギリを買いました。

 

今まであんなに頑張って手動でギコギコしていたのに、この電動ノコギリはトリガーを引くだけで毎分2800回もストロークするそうです。これならきっとあっという間に角材が切れるはずです。

 

 

 

それでは早速、スイッチオン!

 

ズギャガガガガガガガガガガガガ!!!

 

 

 

 

 

あ~、とんでもねえや。写真を撮る暇も無く、あっという間に角材が切れました。凄すぎ。しかし、何故か断面が赤くなっていたので一瞬「指飛んだ!?」と焦りました。

 

 

断面が赤くなった理由、それは指が飛んだからでも腕がズタズタになったからでもありません。

 

 

 

こちらをご覧ください。これは電動ノコギリの刃なのですが、角材を切ると、

 

 

 

こうなりました。

断面が赤くなったのは電動ノコギリの刃の色が落ちただけだったんですね。安心安心。まあ、だとしても断面が赤くなるのは少し嫌ですけどね。

 

ただ、何か害がある訳ではないのでこのまま作業を続けます。まずは1面を切ったので、残りは3面。

 

 

1面目はそこそこスムーズに切れて、2面目もある程度まっすぐに切れました。しかし3面目からは角材が薄くなって安定せずに電動ノコギリの向きが途中で何度も曲がってしまい、4面目も同じような状態でした。

 

なんとなく木製バットが高い理由が分かった気がします。ある程度の長さがある角材をしっかりと固定してまっすぐに切るのって結構難しいんですね。それを機械やプロの職人が正確に仕上げる訳ですから、あの値段でも納得です。

 

でも俺は金無いから自分で作ります!!!ごめん、バット職人!!!あとバット製造ロボ!!!

 

 

 

これが俺の4面荒切りバットだ!!!

 

確かに見た目は悪いかもしれませんが、それでもこのバットには俺の想いが込められています。バットよ、次の工程で絶対にバットらしいバットにしてやるからな。

 

 

 

ということで、次の工程ではあまりに四角すぎるバットをやすりがけで円柱状にします。

 

 

 

この工程はとにかく地味で、ただひたすらにバットの角を削るだけです。

 

この写真を撮ったのが夜の10時、そして次にバットの写真を撮ったのが朝の8時。つまり10時間何も起きませんでした。

「あっ、ここゴツゴツしてるな」と思ったら削り、また「あっ、ここゴツゴツしてるな」と思ったら削り、それを10時間繰り返しました。別にノコギリの時のようにゼーゼー言いながら疲れる事も無く、かと言って電動ノコギリのようにスイスイ進む訳でも無く。

 

 

 

そんな10時間を過ごした結果がこれです。まだ微妙にゴツゴツしていますね。

 

過程が地味なら成果も地味。もしかしたらこの工程が一番地獄かも。あ~あ、電動でやすりがけが出来る工具があったらな~!

 

 

 

調べたらあったので買いました。

 

 

 

これはサンダーといって、底面に取り付けた紙やすりを高速で振動させる電動工具です。

 

これさえあればやすりがけのシーンも派手になるか、もしくは超高速で工程が進むか、そのどちらかになるはずです!これで地獄から抜け出せますね!よ~し、頑張るぞ~!

 

 

と思ったらサンダーも地味でした。

 

やすりがけ系って基本地味なんですかね。小さい電動工具をバットに押し当てるだけの謎の写真しか撮れませんでした。

 

 

 

2時間後、バットがそこそこ丸くなりました。

 

手でやすりがけをしていた時はまだゴツゴツ感が残っていましたが、今回はもう(楕円)と言って良いと思います。

 

 

 

全体で見るとこんな感じです。ちなみに、友人にこのバットを見せたら「大正時代のバット?」と言われました。うるせぇ。

 

木材が白っぽくて若干見づらいですが、先端はかなり丸くなりました。これなら色々な方向にボールを飛ばせます。最初はあんなに角ばっていた角材が、今では色々な方向にボールを飛ばせる立派なバットに進化しました。

 

 

 

まあ、グリップとグリップエンドはまだまだ角ばっていますが……

 

それに全体で見た時に気付いた人もいるかもしれませんが、このバットはグリップエンドが超デカいんですよね。

 

 

 

もう一度ご覧ください。グリップエンドがスーパーの豆腐くらいデカいです。

 

どうしてこんなサイズになってしまったのか、それには理由がありまして……

 

 

 

かなり深い切れ目や、小さなヒビがエンドグリップ付近に集中してしまい、これ以上削ろうとすると割れます。

 

 

 

というか実際に削ろうとして赤丸の部分が割れました。

 

ですので、これ以上グリップやグリップエンドをやすりがけすることは難しいです。しかし、これは裏を返せばこれ以上削れない→重量が減らない→物体は重ければ重いほどパワーが出る→ボールが飛びやすくなるとも考えられます!

 

 

俺は失敗の言い訳なんでしません。全てポジティブな考え方に置き換えます!!!

 

つまり、俺はよく飛ぶバットを作ることに成功しました!!!

 

 

 

とは言いつつも

 

でも、このバットって本当によく飛ぶバットなのでしょうか。すみません。普通に不安です。

 

このままでは自分のバットに自信が持てないので、市役所に問い合わせて野球場を貸し切りました。俺が自らの手でバットを振って実際にボールをかっ飛ばすことで、このバットを完成させます。

 

 

 

いや~、それにしても。丸みを帯びていて、それでいて不器用さが残る。このバットからは母性を感じます。

 

俺はこのバットを真希子と名付けました。グフフ、真希子。君はもうすぐ完成するんだよ。グフフフフフ。

 

 

 

実際に野球場に来ました

 

天気は晴れ。風は弱め。絶好の野球日和ですね。

 

 

さて、今からこのバットを完成させます。

 

 

 

頑張れ!!!真希子!!!

 

 

 

プレイボール!

 

すみません、先に結果だけ言わせてください。

 

意外と打てました。

 

しかし天気が良いのとボールと雲の色が被るので上手く動画が撮れず、何度打っても証拠映像を残せないというアクシデントが発生しました。ですので何度も何度もボールを投げて、何度も何度もバットを振って、体力は限界に。

 

途中からストライクが入らず、入っても打てず、ただただ時間だけが過ぎました。

 

 

ボールボールボールボールボールストライクファール

 

 

 

ボールストライクファールファールボールボールストライクストライク

 

 

 

ストライクストライクストライクボールボールボールボールボール

 

 

2人とも分かりやすく不調ですね。しかしこれは公式の試合ではありません。とにかくボールが飛ぶことを証明できれば良いのです。さあ!気持ちを切り替えて打つぞ!打つぞ!打つぞ!上げてけ!上げてけ!

 

10ストライク14ボール、フルカウントだ!面白くなってきたぜ!

 

次の1球で決めてやる!!!

 

 

 

出ました!出ました!1時間ぶりに外野まで飛びました!有言実行!

 

これでこのバットは完成です!ここまで付き合ってくださった皆さん、ありがとうございました!

 

 

 

やべ、打つ瞬間が映ってなかった……

 

 

証拠映像が残らなかったのでやり直し!!!

 

 

 

その後もバットを振り続けましたが、ほとんどファールすら出ないまま野球場の撤収時間が近付いてきました。

 

もう一度だけ、もう一度だけでも外野までボールを飛ばせないものか。その一心でひたすらにバットを振り続けること2時間。俺もピッチャーも疲労が限界まで溜まり、バット未完成という悲しい結末が現実味を帯びてきました。

 

 

 

違う。

 

俺のバットは未完成なんかじゃない。

 

 

違う。

 

俺のバットは未完成なんかじゃない。

 

 

違う!!!

 

俺のバットは未完成なんかじゃない!!!

 

 

 

撤収時間まであと15分!!!それだけあれば問題無い!!!

 

かっ飛ばせ!!!真希子!!!

 

 

 

飛べ!!!

飛べ!!!!!!

飛べ!!!!!!!!!

 

外野まで!!!!!!!!!!!!

 

 

 

飛んだ……!!!

 

 

 

結論

 

はい、急に「これでクライマックスだ!」みたいな雰囲気を出しましたが、このバットは失敗です。

 

 

何故なら、バットを振るたびにデカいグリップエンドが手首に当たって痛いからです。

 

撮影をしてから3日間はずっと痛いままだったので、恐らく本当の試合でこのバットを使用したら手首に深刻なダメージを負います。

 

 

 

ただ、このグリップエンド以外には何も問題が無かったので、グリップエンドに無駄な切れ目やヒビが入らないように気を付ければ成功だったかもしれません。

 

そう考えると、そこさえ気を付ければ技術2の素人でもバット作りは可能なんですね!

 

そうと分かれば皆さん!今日からバット作りを始めて野球場に行きましょう!

 

 

え?俺?いや、俺は行きませんよ。

 

だって……

 

 

 

今回の撮影で自分のスイングがダサいことに気付いてしまったから……

 

 

 

(おわり)