AM 6:00

ミ゛ーン ミ゛ーン

 

蝉うるせぇ

 

あっ

 

あ~…

 

今日、
飯盒炊爨(はんごうすいさん)やろう

 

 

 

AM 7 :00

夏の朝は大体そうめん

7月初旬。起き抜けの僕の脳裏に「飯盒炊爨」のイメージが浮かんだ。

 

ジャーでもレトルトでもなく、飯盒の米を食べたい。薪に火をくべて、自然な煙をめいっぱい浴びたい。

 

 

AM 9:00

やろう

夏休みは短い

 

仲間を誘ってさあ!

やりたいことが、目の前にあり過ぎる

 

まだ誰も、知らない

 

まぶしい時間を

 

途中経由・拝島駅構内のステンドグラス。綺麗だった

僕が君に見せたげる

 

PM 1:00

ついた

 

 

今回は、あきる野市のキャンプ場「秋川ふれあいランド」を選んだ。

こちらのキャンプ場では、当日の昼までに受付を済ませば事前予約は不要。そして飯盒をはじめとした調理器具もレンタルできるとのこと。

 

つまり、食材さえ持っていけば、その日の思いつきでも飯盒炊爨ができる!

 

 

突然の誘いにも関わらず来てくれた、オモコロライター・らむ屋敷さん

 

突然の誘いにも関わらず来てくれた、原宿編集長

今回はオモコロでもトップクラスで性格が温和な二人を誘った(許してくれそうだったから)。

お忙しい中、感謝しかない。

つくづく思う。持つべき友とは、金持ちでも遊び人でもない。飯盒炊爨の誘いに乗ってくれる友人だ(でも金持ちとも遊び人とも仲良くなりたい)。

 

ちなみにこの日はド平日。利用客も我々のみの貸し切り状態だった。
思う存分に、ゴーハンをサンスィーできる。やるぞ。

※今回の記事では、撮影時以外はマスクを着用しています

 

PM 1:30

このキャンプ場では鉄板・炭・薪がセットで3500円。そして飯盒は1つ500円でレンタルできる。

キャンプ場でのレンタル器具の相場はわからないが、受付のおじいさんが良い人だったから値段とかどうでもいいです。

 

米を研ぎます

キャンプ場の水道水って、どうしてこんなにも冷たくて気持ちがいいんだろう。

 

以前なにかで見た「お米の表面から指の第一関節に届くぐらい」という情報を頼りに水加減を調整。

米に中指突き立てられるのも飯盒炊爨ならでは。

 

米を研ぎ戻ってきたら、「丼」の状態で組まれた薪が放置されていた。陰キャの限界を見た。

 

火をつけます!

 

死ねー!

 

燃えてます! 最高!

 

なんのアクシデントもなく進んでいく

突然のアウトドアでも、大人たちが本気を出せば大抵のことはなんとかなるのだ。

 

だが、この記事の執筆者としては、もっとトラブルが起きた方が嬉しいのも本音だ。

 

「いま、僕が急に焚き火台をひっくり返して大声を出したら、2人はどんな顔をするんだろう」

 

絶望先生でいうところの「0.001秒の悪魔」が僕に囁いてくる。

 

いかんいかん

 

流石にそんなことをしては付き合ってくれている2人に申し訳ない。

というか、この飯盒炊飯を成功させたいのは、他の誰でもない僕のはずだ。

 

あっ、石を置くの飯盒炊爨っぽいですね! いいですね!(この石、いきなり川に投げ捨てたらどんな反応するかな)

 

大自然という非日常が生み出す高揚感のせいなのか…。

飯盒炊爨には、理性を狂わせる魔力があるのかもしれない。飯盒には、魔物が潜んでおります。

 

 

らむ屋敷「いい調子ですね!」

 

はい!

 

「「いえ~い!」」(急にチンポコ出そうかな)

 

所詮、日常と狂気は薄氷一枚の隔たりでしかない。飯盒炊爨ではそんなことが判った。

 

 

PM 2:00

米が炊けるまでの間、我々は暇を持て余した。この時間のことなんにも考えてなかった。

思い付きで飯盒炊爨を実行するとこういう事態に陥る。

 

「僕、ライフジャケット持って来ましたよ!」

 

えっ!?

 

「数年前に購入したんですけど。今日のキャンプ場、川があるから良い機会だなって」

 

用意周到すぎません!?

 

「じゃ、泳いできます」

 

そんな躊躇なく?!

※こちらのキャンプ場は遊泳可能&事前に管理人の許可を取っています

 

らむ……!

 

ら…

 

らむ屋敷
with 川

 

泳いでる…。

 

めちゃめちゃ泳いでる

普段はおっとりしているらむ屋敷さんだが、あんなにもアクティブにはしゃぐ彼は初めて見た。

 

 

飯盒炊爨では、仲間の普段は見られない一面を見ることができた。あんなに遠くまで…。

 

原宿「すげぇな」

 

編集長も驚きを隠せない。原宿さんも泳いでもいいんですよ?

 

 

「濡れちゃうからいいや」

 

可愛い!

 

僕もライフジャケットを借りて泳いでみた

 

うぷ… 強っ…あっ、怖い! 怖ッ!

思ったよりも流れの勢いが強い。

かろうじて足はつくが、川底の石は苔でぬるぬるしていて、ふんばりが全く効かない。

たしかに油断したらあっという間に流されるな…と、改めて川の怖さを認識した。

 

 

PM 3:00

飯盒に棒をつけて、振動で中の沸騰状態を確認する↑の技。

中学の林間合宿でこういうのやった気がするんだけど、2人には全くピンと来てなかった。

 

いよいよ飯盒の蓋を開ける。長い道程だった。

 

「飯盒炊爨をする」

 

たったそれだけのことに、ここまで尺を割いてしまった。

コンテンツ飽和の現代。Web記事もテンポ感が重視される。本来ならここまでの下りは全てカットしてもよかったハズだ。

 

 

だが、飯盒炊爨とは、どこからがスタートだろうか。

 

朝起きて、仲間と集合し、川を泳ぎながら、待つ。

 

飯盒炊爨とは米を炊くだけにあらず。

 

そこに至る過程も飯盒に閉じ込め、炊爨する。それが「飯盒炊爨」。

 

そう、信じたいのだ…。

 

「はやく見せて」

 

あ、はい。

 

 

上手に炊けました!

 

凄い。水加減も炊き時間もかなり適当だったのに…!

 

肝心のお味は…

 

爆裂に美味ぇ

 

ふっくらした弾力かつ、いい具合にパラパラな米加減。

誰の記憶にもある、キャンプの味がした。いや、当たり前なんだけどね。それでもたしかにキャンプの味で感動した。

米って、こんなに美味かったっけ。

 

「お、美味いな」

 

「美味すぎて笑っちゃう」

 

お二人とも良い顔です。それほどまでに、飯盒で炊いた米には力(パワー)があった。

 

米で米がいける

それほどまでに、美味かった。すごい。飯盒炊爨、すごいぞ。

 

ガインッ

 

「米で米がいける」と書いたばかりで恐縮だが、米で米をいけるほど我々は正直者(ピュア)ではない。

むしろ、こんなに美味い米を米だけでいくのは、米に対して失礼だ。

 

当然、肉やらなんやらも喰う。

 

キャンプ場に到着する前にスーパーに寄って「飯盒の米でいきたいおかず」を買ってきている

 

前門の虎(肉)!

 

後門の狼(米)!

 

どうですか!? らむ屋敷さん!

 

 

「……。」

 

ら、らむ屋敷さん?

 

どうした?!

 

「……。」

 

「ガツッ!」

 

……。

 

「…………………ニヤリッ」

 

マジでどうした!?

 

 

変人に目を奪われている隙に、原宿さんは明太子を丸々ご飯に乗せて食おうとしていた。

そんなん絶対美味いじゃないすか! ズルい! いいな~!

 

「美味すぎる」

 

ですよね! 夏場のキャンプ場で明太子をチョイスする、そのギャンブラー精神。根っからの勝負師たぁ、原宿さんのことですよ!

 

原宿さん、ベロがヴェノムみたいになってますよ! 原宿さん!

 

その他にも、食べるラー油や韓国のり、バターなど「飯盒の米に合うおかず」を探求する我々。

突然始めたアウトドアなので大それたことは出来ないが、こうやってせせこましく楽しむのもまた一興だ。

 

なんやかんやで、キムチが一番米に合った

単体でもイケる飯盒炊爨の米は、あっさりとしたキムチとの相性が良い(気がした)。

 

そしてあっという間に完食

飯盒2個の米が一瞬で無くなった。平均年齢33歳の我々だが、その完食のスピードは高校野球部男子に匹敵する勢いだ。

すごい、飯盒炊爨、すごい。

 

じゃあああああああああああああ

 

焼きそばだって焼く

野外で、鉄板があるんだから、当然焼く。

 

当然美味い

モチモチの麺が…

不均等に染み渡ったソースが…

ほぼ消し炭に近いにんじんが…

たまんない。

 

焼きそばを食べると、改めて「俺たち、アウトドアしてんだな」と再認識させてくれる。

俺たち、アウトドアしてんだね…。

 

食後、原宿さんは会社のリモートミーテイングに追われていた。平日に突然誘ったのでこういう事もある(申し訳ない…)。

 

 

PM4:00 撤収

 

コロナの影響下で営業時間が通常より短くなっているので、午後四時、完璧に片づけて撤収。

重たい焚火台はキャンプ場の人が車で運んでくれた。なんて良いキャンプ場だ。

 

「ゴミまとめる用に麻袋持って来ました」

 

らむ屋敷さん…! 急に誘ったのにほんと準備が凄い…!

でも100均でビニールの袋買ったんで大丈夫ですよ…! 麻袋って、死体入れる袋じゃないですか!

 

帰ろう。

 

PM4:30

こうして、我々の「いきなり飯盒炊爨」は幕を閉じた。

 

大自然の中で、友人達といっしょに、苦労して炊いた米を、食う。

夏の貴重な1ページを飯盒炊爨で埋めるのも悪くなかった。

 

思い返せば不思議な感覚だ。

今朝の今朝まで、僕たちは自宅にいた。今日も、夏の一日を無為に過ごしたかもしれない。

しかしやる気次第で、その日の内に、キャンプ場で飯盒炊爨をすることも出来るのだ。エクストリーム出社ならぬ、エクストリーム飯盒炊爨が可能だった。

 

朝は家にいたのに、昼はキャンプ場にいた。

朝、自宅にいた時間が夢の様に感じる。

 

そして、今日の飯盒炊爨も、数年後には遠い夢の様に感じるんだろう。

 

今年の夏も、眩暈がするほど一瞬で通り過ぎた。

また来年も、飯盒炊爨できたらいいな。

 

夏休みは、短い。

 

やりたいことがあり過ぎる。

 

だからこそ、一秒一秒に命をかけよう。

 

夏休みは、短い

 

100年前も、100年先も、きっと同じ。

 

みんなで目指そう

 

瞬きもできない場所を。

 

 

▼大好きな曲▼

 

 

おわり