とんがりコーン指ハメ※造語です。正式名称は知りません。

あまり行儀のよろしくない遊び方ですが、誰しも一度はやったであろう、アレ

その鋭利な爪先から、「魔女の手」や「鬼の爪」をイメージする人も多いのではないでしょうか。

 

ですが、僕はこう考えていました。

 

暗殺者<アサシン>―――

この手は「暗殺者<アサシン>の爪」だと。鉤爪を彷彿とさせる形状は、暗殺者<アサシン>の武器そのもの。

 

組織の命ずるまま、標的(ターゲット)を粛々と狩り続ける、冷酷無比なキラーマシーン。

 

「殺人に何も感じることはない」

「求めるのは、任務を速やかに遂行するための“技術”。…それだけだ」

 

子どもの頃からそんな妄想ばかりしていました。

そう、僕にとって、とんがりコーンとは指にハメるだけで自分を暗殺者<アサシン>に代えてくれる、魔法のお菓子だったのです。

 

こんにちは、暗殺者<アサシン>です

そう、とんがりコーンとは指にハメるだけで自分を暗殺者<アサシン>に代え……代え……

 

コレのどこが暗殺者(アサシン)だ

いくら爪先が暗殺者<アサシン>っぽくても、それ以外の部分はごく普通の一般男性。

この姿を暗殺者<アサシン>と思い込むのは限界があります。スマホで自撮り、よれよれのパーカー…。最高な暗殺者<アサシン>を完成させるためのパーツが足りなさすぎる…!

 

幼少期に思い描いた「暗殺者<アサシン>」はこんなんじゃなかった

どうせなら、爪以外の部分もこだわって「最高にカッコいいとんがりコーン指ハメ写真」を撮ってみたい! 

 

3月下旬「とんがりコーン暗殺者(アサシン)化計画 会議」

今回助けてくれる友達のヲカベ君(仮名)です。
彼は会社員として働くかたわら趣味で一眼カメラを使った写真活動もしています。

 

そして、僕と同じ小学校・同じクラスというマジの幼馴染です。

 

俺たち…大人になったね…!

暗殺者<アサシン>には信頼のおける相棒の存在が必要不可欠。
見ず知らずの他人より、旧知の友人を頼ってこその暗殺者<アサシン>ではないでしょうか。

 

彼の自宅には凄そうな撮影機材がたくさんあったので期待が持てます。

 

とはいえ、この友人が本当に信頼に足る人物なのか確信が持てません。
あるいは、目の前のコイツが友人を装ったスパイの可能性もあります。そう、暗殺者<アサシン>は疑り深いのだ。

 

友人の実力を測るためにこの姿で撮影してもらいます

じゃあ何枚か撮影するね。

 

撮影したら、画像編集ソフトで微調整すれば…

 

実力は本物のようだな!

すごっ! これだけでもかなりカッコいい。

手にピントを合わせて、その周りの明度を下げてみた。

OK。 テストは合格だ。俺とコンビを組んでくれ。ください。助けてぇ(泣)

いいよ~。

撮影に関するアレコレは任せた。完全分業制で行こう。「完全分業制」って響き、暗殺者<アサシン>っぽいし。

 

鉤爪(とんがりコーン)の選定

カメラマンの立場から何か注文はある?

やっぱり撮影って「日光」の存在が重要になってくるんだよね。だから、晴れの日だと助かるかな。

OK。一週間前からウェザーニュースをチェックしておこう。万全な日程を調整するのも暗殺者<アサシン>の仕事だ。

あと、日光の話で言うなら日没前には済ませたいよね。

なるほど、スピーディーな段取りが必要ってわけか。いいね、ポイント高いよ。

※暗殺者<アサシン>ポイント、100ポイント必要

 

事前検証で分かったけど、とんがりコーンには指ハメに適した形があるんだよね。

右とか親指には入らないな。

鉤爪<とんがりコーン>の選定は事前に済ましておいた方が段取り良く進むかも。

 

どうせなら鉤爪のフォルムにもこだわりたい。これとかエグくない?

エグい。湾曲した切っ先が致命傷を与えてくる。

狡猾な暗殺者<アサシン>なら毒を仕込んでる。

 

これ使ってる暗殺者<アサシン>はパワータイプ

先っちょが潰れてる武器は大体パワー系。

会心率は低いけど、溜めゲージ解放からの一撃は鈍く重そう。

 

うわっ! ヤバっ! これは怖い!

異形型だ…。呪われた形をしてる…。

破壊的な攻撃力がある代わりに、その呪力に使い手までも蝕まれるやつだ。こえ~っ。

 

その後も暗殺者<アサシン>に適したとんがりコーンを探っていきます

 

「とんがりコーン指ハメ」といえど、会議の場は真剣そのもの。話し合いは深夜にまで及びました。

 

すいません。ほんとはデュエル・マスターズカードの話の方が多かったです(懐かしすぎて)。

 

暗殺者<アサシン>の設定

ここからは僕の仕事

「コスプレするなら心まで飾れ」(銀魂/14訓)

本気を出して暗殺者<アサシン>を目指す以上、線密なキャラ設定は必要不可欠。自分の中の暗殺者<アサシン>像を総動員させて人物像を詰めていきます。

 

▼「とんがりコーン暗殺者<アサシン>」の設定▼※編集部注※長いので読み飛ばしても大丈夫です

▼名前▼

百目鬼 カイン・“ジョー”(どうめき かいん・じょー)

※名前の由来…
「百目鬼」は日本の民間伝承に登場する鬼の棟梁。最終的に「鬼の世界から出たい」と願い、仏門に帰依する。
「カイン」は旧約聖書に登場する、人類最初の殺人の加害者。
「ジョー」は英語圏では、「おい、お前」といった名前を知らない男性を呼ぶ際のスラング。

 

▼職業/肩書▼

・フリーの暗殺者<アサシン>

・『臥竜遁暗殺術(がりとんあんさつじゅつ)』の使い手

 

▼性格/身体的特徴▼

・寡黙で何事にも動じず、決して人前で笑顔を見せることはないが、根底には優しさを秘めている

・生まれつき白髪のため老人と間違われるが28歳

・身長180cm、体重50kg、細身だが筋肉質

・右目に大きな古傷がある

 

▼略歴▼

・暗殺者育成の里「久遠(くおん)の丘」に生を受け、幼少期より『臥竜遁暗殺術(がりとんあんさつじゅつ)』を教え込まれる

・暗殺術において天賦の才を発揮し、18歳を迎える頃には里の暗殺集団蜿蜿長蛇<ウロボロス>』総隊長に任命される。

・部下からは畏敬の念を込めて「鬼鉤爪の棟梁」と呼ばれていた。

・その頃に使用していた武器は鉄製の鉤爪「顎<シンドローム>」。

 

・カインが20歳を迎えた年に、『蜿蜿長蛇<ウロボロス>』は海外への勢力拡大を目論む。

・しかし、西洋最大の犯罪シンジゲート『マモン』の圧倒的な組織力の前に大敗を喫することになる(この凄惨な抗争は後に「泥鼠の血戦<ダートハート>」と名付けられた)。

・結果、『蜿蜿長蛇<ウロボロス>』は瓦解。カインもこの抗争中に瀕死の重傷を負う。

 

・抗争終焉後、敵対関係にありながらもカインの暗殺技術に惚れた『マモン』の頭目<ファーザー>は、カインの治療を条件に自らの組織にスカウト(半ば強引な取引きではあった)。以降、カインは『マモン』で暗殺者<アサシン>としての任務をこなす。

・『蜿蜿長蛇<ウロボロス>』での名前は捨てさせられ、組織内では“ジョー”と呼ばれる(「ジョー」とは英語圏で「ねぇ、おい」など名前の知らない男性に対して使うスラングであるが、同時に顎という意味もある)

 

・それから数年後、カインは『マモン』の組織としての非道さ、他者の命を奪うことへの自責の念に耐えられなくなる。

・葛藤の末、組織を無断で離脱(その際にも多数の死傷者を出してしまう)。

 

・現在はフリーの暗殺者<アサシン>として生計を立てているが、制裁対象者<ターゲット>になるのは反社会的集団や倫理欠如した人間のみである。

・組織を離れてからは自戒の意味も込めて「無殺(むしょう)」を誓う。武器も鉄製の鉤爪から殺傷力皆無の「とんがりコーン」へと変更。

・「無殺」を心がけているが、『蜿蜿長蛇<ウロボロス>』時代に里長から強制的に植え付けられた「破覇の人格」残穢は消えておらず、窮地には己でも制御しきれない程のバーサーク状態に陥ってしまう

・武器として成立しないはずのとんがりコーンを暗器へ昇華させているのは、紛れも無くカインの天才的な体裁きがあってこそだ。

 

▼主なセリフ▼ 

「血潮と怨嗟の過去…俺にはそれしかない…」

 

▼蜿蜿長蛇<ウロボロス> 組織図(瓦解からの再編成)▼

か…完璧だ

この作業が一番楽しかったです。

 

衣装制作

設定が固まったら衣装の制作

百均・ホームセンターで使えそうな材料を購入し、リメイクします。

 

本当なら衣装もプロにお願いしたいところですが、お金が無いので自作です。

子ども時代の自分にこれだけは言えます。「大人になってからの方がお金で悩む」は真実です。

 

撮影前日

いよいよ準備も大詰め。ポーズや構図を友人と入念に打ち合わせします。

 

撮影日前日、友人との最終確認が完了

 

撮影当日、朝

撮影日を迎えました

降水確率5%以下、風力おだやか。絶好の撮影日和です。

 

鉤爪<とんがりコーン>の選定も完璧

余談ですが「とんがりコーンは厳重に保管するほど『両面宿儺の指』っぽくなる」という気づきもありました。

 

4月初旬、撮影決行

朝9時、再び友人宅にお邪魔してメイクを施します

ただ、化粧スキルは皆無なので、最終的にファンデーションを塗りたくって誤魔化しました(男2人で「アイブロウってなに? アイライナーってどう使えば?」とか言ってた)

 

ほんとに鼻の下伸びちゃうんですね

 

メイク終了後、近所の撮影地へ

友人も万全な準備で臨んでくれています。あと彼、今日のために有給を取ってくれました
何から何まで頭が上がらない…。

 

で、僕はというと

 

こんにちは

 

暗殺者<アサシン>です

これが大人が本気を出して制作した暗殺者<アサシン>のコスプレです。どう? カッコいい暗殺者<アサシン>になれてます?

 

友人めっちゃウケとる

ダッセ~w

は? ふざけんなし…と言いたいけど、ごめん、俺もダサいと思ってる。

 

あまりのチープさに2人とも笑ってしまった

 

でも細部まで見たらいい感じかも。腰にベルト何重も巻いてあるの、わかるな~。

よくぞ気づいてくれた。「暗殺者<アサシン>、腰回りのベルトたくさんガチ」だからね。

 

これは長靴を改造したの?

そう。ホームセンターで買った長靴に、百均のリメイク用ファスナーを貼り付けてみた。

いいねぇ。

 

これは…クリーム絞り袋の口金?なんで???

いや、これは…

 

鉤爪<とんがりコーン>のホルダー。

うお! これは普通に良い!

暗殺者<アサシン>たるもの、瞬時に臨戦態勢に入れなきゃ話になんないから。

カッケ~~~。

 

タッパーから特級呪物を取り出し、いよいよ撮影開始

 

定点カメラからの様子

コスプレ力が低いため、カメラマンにかかる負担がグンッと大きくなってしまいました。

 

「それ、すごく暗殺者<アサシン>っぽい!」「おぉけぇ~~~いッ!暗殺者<アサシン>いただきました!といった感じで、グラビアの撮影現場さながらテンションを上げてくれる最高のカメラマン。

 

とんがりコーン暗殺者<アサシン>の完成

試行錯誤の末、とうとう完成写真のお披露目です。

果たして「最高にカッコいいとんがりコーン暗殺者<アサシン>」は撮れたのか。 どうだ…?! どうなるんだ?!

 

 

 

「血潮と怨嗟の過去…俺にはそれしかない…」

 

「先に謝っておく…この技は自分でも制御できない」

 

臥竜遁暗殺術!!!

 

………。

 

カッッッケ!!!!!!

ヤバイ。冗談抜きでマジでカッコいい。……冗談抜きでマジでカッコいいな! おい!

 

最高な「とんがりコーン暗殺者<アサシン>」の姿がそこにありました。これぞ、幼少期に自分が妄想していた姿です。

撮影技術でここまでカッコよくなれるんですね。3枚目とかPCの壁紙にしたい…。

さ、最高……(泣)

よ~し、こっちも調子が乗ってきた。 どんどん撮っていこう!

!!!

 

「平穏か…それは俺と最も縁遠い言葉だ…」

うわうわうわ…

 

「まさか…蜿蜒長蛇<ウロボロス>の残党か…?!」

うわーーーー!!!

 

「とんがりコーン暗殺者<アサシン>」が出来上がっていきます。嬉しい(泣泣泣)

 

背景にとんがりコーンの幻影を浮かばせると、最終奥義みたいな写真を撮れることも判明しました。こういう技あるよね~。

 

臥竜遁暗殺術独式-壱ノ型-「桜姫(キオウ)」

唱えちゃうよね~、技。ちなみに「桜姫」とは、過去の護衛任務で守りきれなかった少女の名前です。

 

とんがりコーンの幻影はこうやって撮影しました。今回、カメラマンの負担が多すぎる。

 

臥竜遁暗殺術独式-弐ノ型-「桜姫(キオウ)」・改

シュバッ!

 

「任務…完了…」

 

終了

そして日が沈まないうちに撮影終了

最高なカメラマンのおかげで、「最高にカッコいいとんがりコーン指ハメ写真」を撮ることができました。友人、本当に…ありがとう!

 

ありがとうな!!!

 

ギュッ!

ありがとう! マジでありがとう(泣)

良い写真が撮れてよかっ……痛い痛い痛い痛い痛い、とんがりコーン刺さってる。

油断させて隙をつく、それが臥竜遁暗殺術。

 

片付けの際中、夕方のチャイムのメロディが聴こえてきた

そう言えば、大人になってからこのメロディをじっくり聴くことは無くなったな…。

学校終わり、カードゲームを持って、公園に集合していたあの頃。あのとき、僕たちはたしかに「無敵」だった。

 

あ~…なんつーか…

 

なんつーか俺たち…… 

 

大人になっちまったなァ!

 

邪亜涅(じゃあね)ッッッ!!!

 

※使用したとんがりコーンは筆者が責任を持って全て食べました