まずはこちらの写真を見ていただきたい。 

 

街中で誰にも気づかれていないかわいい着ぐるみの写真だ。

ほんの少しだけ心が動く、どこか悲哀が漂う風景。遭遇するとつい写真におさめてしまう。

私はそれをおセンチ写真と呼んでいる。みなさんも一度ぐらいはこういうのを撮った覚えはないだろうか。

 

先日、数人でおセンチ写真を見せ合う会をして記事にしたところ、「私もそういう写真を持っているぞ」という声がいくつか上がった。

ということで、今回も持ち寄ったおセンチ写真を見せてもらえることになった。ありがたい。

 

 

おセンチ写真を持つ者たちが来てくれた!

 

それぞれがどんな光景にどのようなセンチメンタルを感じるのか。しっかりと受け止めていきたい。

 

 

 

 

かとみのおセンチ写真 

では私から! 何枚かあるマネキンシリーズから始めたいと思います。1枚目は服屋で撮った写真なんですが……

 

置き去りのマネキンの腕です。

あらら悲しい〜

不意に見かけたらギョッとしますね。

それで、こうなるとやっぱり腕のないマネキン本体のほうも確認したいじゃないですか。

たしかに。

なので店内を歩き回ってマネキンの本体を探したんですが……このお店、そもそもマネキンが1体もなかったんですよ。

え?!

じゃあこの腕はどこから……

こわい話になっちゃった……

 

 

 

続いてはこちらのマネキンです。

 

とあるビルのエントランスで見かけました。

今度は足!

アダムスファミリーにこういうのいましたね。

ハンドの亜種だ。

これ剣道のすり足してませんか?

洋館の中を剣道の感じで動き回ってたらちょっとかわいい。

ちなみにこれを見かけた場所なんですが……雑居ビルなので近くに服屋もなくて、やっぱりどこにもマネキンの本体が見当たらなかったんですよね。

マネキンの本体がないシリーズってあるんだ。

いつか散らばったマネキンのパーツを集めて完全体にしたいという夢があります。

 

 

 

 次もマネキンですが、ちょっとテイストを変えて和む感じのやつをいきます。

 

あ、髪の毛が!

隣の人の足元にカツラが落ちちゃってますね。

これちょっとストーリー性を感じないですか?

こいつらは敵対しあってる。

あ、そういう見方を?!

私は落ちたカツラを隣の人がそれとなく教えてあげてるのかと思ってました。

思いやりですね。

 

私はこの女性がすました顔で叩き落したように見えました。

モンゴルナイフさんは世の中が悪意で満ちてると思ってる。

 

 

でもめちゃくちゃハッピーな笑顔で写真を見てくれるモンゴルナイフさん

 

 

 

次は、ゴミ捨て場で見かけた貼り紙を撮った写真です。

 

最初は迷い犬のポスターかなと思って近づいてよく見たら、生ゴミの捨て方を注意してくる犬でショックでした。

こういう貼り紙って「見てるぞ」みたいな厳格な感じにしがちですけどね。

犬のかわいさで良心に訴えたかったんでしょうか。

 

 

この貼り紙なんですけど、続きがありまして。2週間後の様子を見てもらっていいですか。

 

 

いやあ! かわいい犬だったのに麗子像になった?!

呪われそう。

別に悪い絵とかではないんですけど、それにしてもテイストが変わりすぎている。

筆跡を見るとどっちのポスターも同じ人が作ってますよね。

同じ人の中にこの両極のセンスがあるのがこわい。

 

ここからさらに一週間後の貼り紙をご覧ください。

 

かわいい犬に戻った!

犬増えてるし。

多分ぼくら試されてますね。

作ってる人も貼り紙作るの楽しくなってそうじゃないですか?

たしかにデザインとかこだわり出してる。

でも残念ながらこの後は字だけの貼り紙になっちゃいました。

そんなもっと見続けたかった……切ない~

 

 

 

 

モンゴルナイフさんのおセンチ写真

 

では私がいきますね!

 

ドライブ中に見つけた建物です。

エメラルドグリーンが鮮やかで良いですね~

 

 

この建物、壁の跡を見ると昔はブティックとかインポートグッズのお店だったみたいなんですけど

 

 

「じゃんきち」っていう雀荘に生まれ変わってました。

よりによって雀荘に。

ブティックからの温度差が。

 

 

ブティックっぽいエレガントな石像はそのままなんですね。

おしゃれな形の窓に真っ赤な文字で「麻雀」って刻まれてるのも切ない。

そしてまぁまぁ車が停まって繁盛している……

1枚の写真にヒントが散りばめられていて見ごたえがすごい。

 

 

 

次は治安の悪そうな町で見かけた壁の落書きです。

 

「この人 大スキ」

ここだけポジティブでいいな。

この人って誰なんでしょうね。

名前を書かないところに奥ゆかしさを感じますね。

でも思いっきり落書きなので治安は悪い。

あ、そういえばこれのすぐ近くで見かけたんですけど、より顕著に治安の悪そうな雰囲気が分かる写真も撮りました。

 

 

こんな感じでガラスのドアが割られてました。

ローキックでいってますね。

ガラスに映りこんでるモンゴルナイフさん、表情は見えないけどなんか嬉しそう。

ウソみたいな状況につい感情が高ぶってしまいました。

 

 

 

次は高級住宅街の白金の歩道橋にあったメッセージです。

 

「死」

いいですね。

ふふふっ

白金の歩道橋に? 死が?

ハイソな街に突然現れた死。

 

 

もしかしたら逆方向から見ると何かの記号に見えるとか。

あーー……いや、

死、ですね。

ぜんぜん死でしたね。

なんなんだこれは。

 

 

 

ちょっと嬉しそうだけど私たちは死を眺めています

 

 

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