自販機の横に置いてある空き缶やペットボトル用のゴミ箱。
私はあれを眺めるのが好きだ。
なぜかと言うと、ちょっと生き物っぽくてかわいいから。
このゴミ箱はカエルみたいに見えないだろうか。
これはロボットっぽい。ビニール袋のスカートが似合ってる。
まとまると家族のようにも見える。後ろの赤ちゃんゴミ箱の愛らしさがたまらない。
恥ずかしがり屋のゴミ箱だ。自販機のほうは人なつっこそうな顔をしてる。
自販機と一体化をはかる忍者みたいなやつ。
と思えば、自販機と打ち解けてないやつもいる。
登場の仕方がかっこいい。
放心気味のゴミ箱。口元がゆるい。
一服してるところ。
ライブハウスの最前列みたいな臨場感。
自販機前で角打ちしてる。
横に並ぶと戦隊モノみたいだ。
今日も街の衛生は彼らによって守られている。
いかがだろうか。ただのゴミ箱のはずの彼らは生きていて、日常を過ごしているように思えてこないだろうか。
私は彼らの人生を見たくて、自販機横のゴミ箱を日々眺めている。
中身がつまったゴミ箱が愛おしい
ある日、私は衝撃的なゴミ箱と遭遇した。
ちょっとどうしちゃったの、その顔……!
なんとゴミ箱が表情を出してきたのだ。
ゴミ箱の中身がたまってくると、入口からペットボトルがはみ出して目玉のように見える仕組みだ。
表情豊かな彼に私のハートは一瞬で鷲づかみにされてしまった。
それから私はゴミ箱の表情をチェックせずにはいられなくなった。
同じメーカー出身のゴミ箱を比べてみる
例えばよく見かけるコカコーラの自販機。
隣にはもちろんコカコーラ仕様のゴミ箱が設置されているが、ペットボトルの飛び出し方によって違った表情に見えるのがおもしろい。
控えめにそっと寄り添うゴミ箱。伏目がちで何だかいじらしい。
ギャグマンガの目玉だ。一度でいいからこれぐらい驚いてみたい。
ちなみにペットボトルが落下しないギリギリの位置でキープしているほど私は興奮する。衝撃的じゃないですか、このバランス。この表情。
売れ行きの良い自販機の近くには必ずハードなゴミ箱が現れる。
顔面は汚れ、頭には入りきらなかった空き缶を装備している。ランボーだ。その姿は泥まみれでジャングルを疾走するランボーのごとく荒々しい。
寄り添う二人。ちらっと隣をうかがう赤い瞳が二人の関係性を表してるように思える。
他メーカーのゴミ箱に耳打ちするコカコーラの彼。
空き缶の目玉がらんらんと輝いて楽しそう。
小さくて青いやつがかわいすぎ
青くて小さい、タレ目系のゴミ箱は特にかわくて好きだ。
困り眉がプラスされるともう手に負えない。守ってあげたい……
目を見開いたびっくりフェイスも実にキュート。抱きしめたい……
自販機の影に隠れるようにして佇まれるともう愛おしい感情が爆発しそうになる。養いたい……!
こわがらないで大丈夫だから…… もっと前に出てきて……
時には自販機よりも前に出てがんばっている。なんて健気なんだ。ああ、これからも応援していきたい。
顔が汚れてるやつがこわい
こちらのゴミ箱、はじめは目玉がよく飛び出しているポイントとして頻繁に通っていたが、
日を追うごとに顔の様子が変化していることに気がついた。
ペットボトルが溢れすぎるとホラーテイストになってこわいというのもある。
しかし、気になっていたのは日に日に悪くなっていく顔色のほうだった。
肝臓をやられたのかもしれない。体の老廃物がたまりすぎると、ゴミ箱もこういう顔色になるらしい。捨てすぎ注意。
彼は今日も土気色の顔で道行く人々を見つめていた。
私はこの道を通る時に少しぞくっとする。
彼ら(ゴミ箱)のドラマチックな駆け引き
よく利用されるゴミ箱は日ごとに顔が変わる。
どういう風に変わっていくのか毎日眺めてみることにした。
だいたい1週間前後で中身がいっぱいになり表情が表れるようだ。
ペースをつかんでしまえばこっちのものである。
空き缶のうるんだ瞳が少女マンガのようでかわいらしい。
と思ったら、関係ない一般ゴミも捨てられていたらしく、頭上に注意喚起の看板が取りつけられた。
彼は看板を見てなにを思っているんだろう。
看板効果なのか3週間に一度しか表情を出さなくなってしまった。
それはそれで悲しいが、ルールなので仕方がない。
雪が降った日。モコモコの雪が顔に貼りついて毛皮のようだ。イエティみたい。かわいい。
ある日、彼は気がついたらしい。隣にいる寡黙な青いゴミ箱の存在に。
そうなのだ、青いゴミ箱は一度も表情を顔に出したことがなかった。
隣を見ているね。
でも青い彼は黙ったままだ。怒りも笑いもしない。生きているのかすらも怪しい。
青いゴミ箱が表情を出した時はドキっとしてしまった。
青いゴミ箱は寝たふりをしていただけだった。そして、そのことに白いゴミ箱は気づいていないようだ。
こんなにも近くにいるのにすれ違う2人……グッとくる展開だ。
ドラマのようなアツい今後の展開も楽しみに見ていきたい。