東京都江東区に亀戸という駅があるのをご存知だろうか。

総武線沿線の中ではあまり目立たない存在かもしれない。

私自身、総武線に乗る度に通過はしているが、降りたことのない駅だった。

 

ある日、私は思いつきで亀戸駅で途中下車してみることにした。

 

今までスルーしていた目立たない場所にこそ面白い発見があるかもしれない。

はじめはそんな軽い気持ちだったが、散策する内に亀戸の深刻な現象と対峙することとなった。

亀戸の深刻な現象とは何か?

まずはこちらの写真を何枚かご覧いただきたい。

 

 

公園の風景

 

 

駅前広場の風景

 

 

 

 

……お分かりいただけただろうか。

そう、亀が大量発生しているのだ。

 

亀戸だから亀。まるでダジャレじゃないか。亀戸は街単位でダジャレをかましているというのか。

たまらなく最高だ。きっと探したらもっと色んな亀が見つかるに違いない。

私は居ても立ってもいられず、亀戸の実態調査に乗り出すことにした。

果たして亀戸にはどれだけの亀モチーフが繁殖しているのだろうか。

 

 

 

 

 

調査範囲を決める

 

 

調査範囲はJR亀戸駅と、亀戸を代表する亀戸天神社の周辺にしたいと思う。

JR亀戸駅の北側、駅を中心に半径500メートルのエリアに絞って調査していく。

 

 

 

 

人間型の亀

 

調査をして分かったのは、ひと言で亀と言ってもいくつかのタイプに分類できるということだ。

まずは分かりやすい「人間型」の亀から見ていきたい。

 

「ようこそ!」という文言から分かるように、挨拶やポージングが人間のようだ。

これを人間型とする。愛らしくポップな見た目が人間型の特徴だ。

 

 

 

 

同じ駅ビルにて、こちらも人間型。ひげをたくわえ、タキシードに身を包み、紳士的な装いだ。

 

 

 

 

飲み屋街にて。片手にビールというなかなかのアグレッシブさ。

豊かな表情は人間型の大きな特徴だといえる。

 

 

 

 

 

彼を見た瞬間「これ亀っぽい人なのでは……?」と心配になった。肌の色が妙に人っぽい。

甲羅にでかでかと「灸」の文字を掲げ、お灸を手に持ち、こちらを振り返り微笑んでいる。これ、もうほぼ人だ。

 

 

 

 

人間型の中でも希少種にも出会うことが出来た。

 

 

喋る。

「やれるとこまでやってみよう」

かめちゃんから並々ならぬチャレンジ精神を感じる。応援せざるを得ない。

 

 

 

 

 

煎餅屋の軒先にて発見。

「幸せの味!!」「歴史の味!!」と喋っている。リズムが単調だからだろうか、ちょっとロボっぽい。

 

 

このように人間型の亀は、衣装を着たり、笑顔を振りまいたり、喋ったりする。

人間の生活に寄り添い、うまく繁殖していることがよく分かる。

 

 

 

 

 

横断型の亀

 

最も多く見られるのがこの「横断型」

人間の目を気にせず、のそのそと横断し、自由奔放に行動するのが特徴だ。

 

 

 

 

外国のお菓子みたいな色使いの甲羅。ワイルドなボディライン。独自の進化を経た種のようだ。

 

 

 

 

横断型は、親子が連なっている姿でよく目撃される。

 

 

幸運にも若いカップルにも出会えた。おめかしをしている。お隣の錦糸町に映画でも観に行くのだろうか。

 

 

 

 

 

街の掲示板。うまく隠れているが、みなさんはどこに亀が生息しているか分かるだろうか。

 

 

これはポケモンなので亀戸の亀じゃないです。

 

 

正解はここ。街だけではなく中学校でも亀は生息しているらしい。

 

 

 

 

 

住宅街の中にある小さな公園にて

 

 

横断型の亀だ! と興奮して近づいたら、ただの活きの良いリスだった。

こういう思わせ亀によるフェイントもあるので気を付けたい。

 

 

 

 

 

焼きそば屋にて発見。これまでで一番肌ツヤの良い個体だ。

店内にも亀が生息しているかもしれないので、調査のため入店してみたい。

決して焼きそばの香りにたまらなくなって入店するわけではない。

 

 

 

もしかすると焼きそばのお皿に亀がいるかもしれない。念の為、注文してみた。

試しに麺を持ち上げてみる。麺はコシのある中太の生麺。もちもちだ。スパイシーなソースがよく絡んでいる。おいしい。それにしてもこの焼きそば、カラフルなトッピングに終始目を奪われてしまう。甘めに味付けされたジューシーな豚肉と、ふわとろのスクランブルエッグの名コンビ。お互いを引き立て合い、何より麺との相性も抜群だ。豚肉からパワーをもらい、一方スクランブルエッグから優しさをもらった。無限にいける。箸が止まらない。そんな暴走する箸を止める役目は揚げ玉だ。サクサクと弾ける食感にハッと目が覚める。入り乱れる味と食感を口の中で噛みしめていると、青のりの風味が隙をつくように鼻を駆け抜ける。ああ、なんて忙しい焼きそばなんだ。休まる暇がない。こんな焼きそばは初めてだ。お店に入って良かった。亀戸に来て良かった。ありがとう亀戸。また来よう。

 

 

焼きそばに満足して帰りそうになったが、店内で亀の親子を発見できた。よかった。

 

 

 

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