こんにちは、ライターのみくのしんです。ジモコロではいつも、『一日職業体験レポート』を書いてきました。

今までに体験したのは、解体作業や冷凍倉庫、焼き菓子屋さんなど。

 

今回は……

 

ジュワワワワワ~~

 

コトトトト・・・

 

とんかつ屋さんで一日職業体験をします!

 

はい!と言う訳で、奈良県にあるとんかつ屋さん「まるかつ」にお邪魔しています。

 

このお店、ネット上では「無料食堂」や「全メニュー半額」などの企画で話題なんです……が! それは後で詳しく聞くとして、まずはお店に入ってみましょう!

 

とんかつ屋「まるかつ」神殿(こどの)店

住所|奈良県奈良市神殿町667-1

営業時間|ランチ:11:00~15:00・ディナー:17:00~22:00

公式HP

 

 

今回お世話になる、店長の金子さん

 

「本日はよろしくお願いします! 前回の職業体験では焼き菓子屋さんを体験したのですが、はちゃめちゃに楽しかったので、『まるかつ』さんも期待大です!」

「そう言っていただけると嬉しいのですが、ランチ時は結構大変ですよ?

「またまた~! 大丈夫、大船に乗ったつもりで安心してください。さて、まだ開店前だから、さっそく仕込みでもしましょうか?」

「じゃあ、まずはお店の前のノボリを変えてください」

「え?」

就業開始~お昼休みまで

 

店先にはこんな感じでノボリがたくさん はためいています

 

「この中のいくつかが新しくなったんで、営業開始までの間に取り替えてください」

「かしこまりました!」

 

ノボリを外して新しいのを付けるだけという、誰でもできる仕事です

 

「これを外して、ここを…」

 

「ん? こっちをこうするのかな」

 

モタモタ……

 

 

 

~15分後~

 

 

「出来ました! 結構難しいですねアハハ」

「……慣れたら30秒で出来ます。もうお店が開いちゃってますので、戻りましょう!」

「ひぇえ~~!」

 

お店に戻ると、営業開始早々に即満席! そして漂う…いい匂い…!

 

めちゃめちゃな大繁盛じゃないですか! あの、僕は何をす……」

いらっしゃいませー! はい、ロース一丁! ありがとうございます! え、なんでしょう?

「えっと、凄いお客さ……」

はい! コチラどうぞー! おまたせしました! それで何でしたっけ?」

「いえ、なんでもありません。いらっしゃーせー!

 

 

 

 

 

 

「いらっしゃいませ!」と、大きな声を出して、仕事やってる感を出す事しか出来ない程の大盛況! その為、開店2分にして完全に孤立。飲食店のお昼時って忙しい…!

 

「(仕事してなさ過ぎて気まずい……)すみません! 何か手伝える事ありますか!?」

「うーん……そうですねー。それじゃあ食器を洗ってもらっていいですか?」

「皿洗いか……どこで、どうやってやればいいでしょうか?」

「細かいことは、あそこでしじみ汁をかき回してる女性に聞いてください」

 

この子……?

 

若くしてバイトリーダーだという小松さん。色々聞いてみます

 

リーダー! 洗い物はこちらでいいでしょうか?」

「あんまりリーダーって呼ばれないから照れますね/// そこの棚に置いてあるものを、シンクで軽く汚れを落として、食洗機に入れたらOKです!」

「食べ残しはどうしたら?

「後ろにゴミ箱があるので、捨ててから洗いましょう。小皿とかを間違って捨てないでくださいね」

 

僕は飲食店で働いた事があるんですが、洗い物って正直しんどい! まるかつさんには食洗機があるので、そのストレスからは開放されます。これ結構大事ですよ!

 

背後の棚をご覧ください。ホールスタッフが下げてきた洗い物が、次々と運ばれます。食べ残しを捨てて、器を洗い……

 

食洗機に入れる

 

食べ残しを捨てて、器を洗い……

 

食洗機に入れる

 

食べ残しを捨てて……

 

ちょっと! 小皿捨てようとしてません!?」

「あ、やべ」

「ずっとやってると、皿洗い専用ロボみたいな精神状態になることがあって、そういう時は、ゴミと間違って小皿も捨てがちなんです」

「すいません! ちゃんとヒトとして皿洗いをがんばります」

 

その後も、客足は途絶えることなく、店内は大忙し!  厨房は忙しいながらもアットホームで楽しそうですね

 

一方僕はひとりで皿を洗い、食洗機に入れて、その蒸気でメガネを曇らせたりしながら、ずっと同じ作業

 

「僕、財布忘れて 代金を皿洗いで稼いでる人みたいになってません?」

「すみません、ランチ時はいつもこうで…」

「くぅ~…」

 

 

洗えども洗えども増える、食器の数。

 

もしかしたら僕は、お皿をぞんざいに扱って、街を荒らし生計を立てていた、サラワリーノ一族の末裔なのかもしれない…

 

これは自分との孤独な戦いだ。

どこに戻していいかわからない食器の場所を丁寧に教えてくれるリーダーに、思わず涙を落としてしまいそうになった。

 

僕はなぜ生きているのだろう。いや、“生きている”というのは思い込みで、実はまだ母の胎内で、生まれたあとのことを夢想しているだけなのかもしれない。

 

では生とは、死とは……?

 

 

「…しんさん…!」

 

みくのしんさん…!

「はっ!?」

「しっかりしてください! お昼休憩ですよ!」

「オ昼…キユウ…ケイ…?」

 

わ~い! メシメシメシ~!

「調子良すぎです」

お昼休み

いくら一日職業体験と言っても、マジの本気で3時間も皿洗いをさせられるとは思っていなかったので、ここらでおいしそうな写真を入れておきましょう。

 

お昼はまかないとして、お店一番人気の「ロースとんかつ定食(1,180円)」をご馳走になりました!

ちなみに、アルバイトで一日7時間以上入ると、まかないとしてお店のメニューをなんでも食べて良いそうです。

 

「お疲れ様です! 午前中は食器洗いばっかりでごめんなさいね!」

いえいえ!

「でもね、食器洗いって、ああ見えて大切なんですよ」

うんうん!

「こう言った、お客さんに見えない仕事をキチンとやる事が……」

「あーもう、店長!!

 

もう食べていい~!?

「あ、ごめんね! どうぞ、お召し上がりください!」

「やった! いただきます!」

 

「濃厚ソースをたっぷり付けて…!」

 

サクッ…

 

うっま……

 

「こりゃ最っ高! サックサクの衣濃厚とんかつソースが合いすぎる。厚切り豚肉もジューシーで食べごたえがあるのに、油がクドくないからいくらでも食べれる

「試行錯誤しながら研究を重ねて、今の形に落ち着きました。お肉は三元豚の美味しいお肉を使ってますし、油も、食べた時に胃もたれにしにくい米油と言う油を使ってます」

「そんな所まで!」

「お客様に美味しい物を作るのは当たり前。それでいて安心安全に食べていただきたいので、商品として出すものは99%手作りです!」

「え? 残り1%は…?」

 

「…………」

「いえ、大丈夫です。そういえば、お店の壁に無料サービスのチラシが貼ってあったんでビックリしたんですけど、なぜやろうと思ったんですか? むしゃくしゃしてた?」

 

お金のない人向けに、無料で食事を提供するサービス、無料食堂。1万6千リツイートされ話題になりました。

無料食堂の詳細はコチラ

 

「テレビやインターネットで、貧困問題などの悲しいニュースが目に入る度に、なにか僕に出来ることは無いかなって考えてたんです。で、とりあえず出来ることから、と考えて始めたのが無料食堂なんですよね」

「そういう、思いやりの気持ちを逆手に取って『お金が無いわけじゃないけど、無料で食わせろ~!』みたいな輩は来なかったんですか?」

「そういうこともあるにはありました。でも、本当に日本全国、遠くから食べに来てくださったり、多くの応援をいただいたので」

「世の中捨てたもんじゃないわ……」

 

その他にも、今年の北陸を中心とした豪雪の際には、北陸の方限定で全メニュー半額にするサービスを実施して、Yahoo!ニュースにも取り上げられています。

詳細はコチラから

 

店内に置いてあるご来店記念ノート。本当にみんなから愛されてるのがわかりますね

午後の作業再開

昼を過ぎて少し落ちついたところで、次は接客を体験します!

お茶の出し方や、注文の取り方を教わりましたが……これ、結構むずかしい!

 

実際に接客してみましょう……え? 本当に!? 大丈夫?

緊張して湯呑が震える~! リーダー! リーダー! ちょっとそばに居て~!

 

「ハートよわ~」

「いや緊張しますって」

「お茶とおしぼりは出してくれたみたいなので、あとは注文を頂くだけですね。気をつけてほしいのは常に笑顔でということ! 接客も味付けの一つと店長から教わっています!」

「笑顔! 了解です!」

 

「ふへへ……ご注文をお伺いします。フヒ」

 

「実際に声に出して笑う必要はありません。あと異性として、そもそも笑い方がちょっとイヤ

「ひどい

 

お客さんが食べ終わった皿を下げるのも大事な仕事。

落とさないように必死です。

 

「ホールの方は落ち着いてきたので、今のうちにみくのしんさんにも揚げ物を作ってもらいましょうか

「お! 遂に念願のトンカツ作りですね!」

「今エビフライの注文があったので、エビフライでお願いします!

「(トンカツじゃないんだ)……はいっ!

「うちは生のパン粉を使っててサクサク食感を大事にしてますから、潰れないように優しく扱ってくださいね」

「フライヤーにはどういうふうに入れたらいいですか?」

「えーっと、『キレイに揚がって来~い!』と言いながら、ふわぁっと入れてください!」

「アバウトだなー」

 

えーと…キレイに~……

 

揚がって来~い!

 

ジュワワワワワ~~!

 

わぁ、上手! 初心者の人は高い所から落としがちなんですけどね。私の説明のおかげかな?」

「あれで説明のつもりでした?」

 

飲食店で調理のバイトをしていたことがあるので、厨房の手伝いは結構得意です。

 

色々お手伝いをしているうちに、「意外と使えなくもないやつ」という評価を得られた……ような気がします。

 

続いてはカツ丼用のカツをカットしていきます。

 

リーダー!!

「え!? どうしました!?」

「このトンカツ… サックサクだから切るの楽しいです…」

「そんな事で呼ばないでー!」

 

最後の仕上げだけはリーダーにやってもらいます。めちゃめちゃなシズル感。

 

「おぉ、やっぱり手慣れたもんですね。リーダーはいつ頃から働いてるんですか?

「私は、ここがオープンした4年前からずっと働いてますよ!」

「え!? じゃあローンチメンバーってこと? プレステで言うリッジレーサーって事じゃん! 凄ー!」

 

リッジレーサー

 

ローンチ? リッジレーサー? よくわかりませんが、たぶんそうですね」

「あれ? リッジレーサーわからない? 失礼ですが、リーダーって今お幾つですか?」

19歳です!

19歳!? 思ってたより若い。なのにリーダーってすごい!」

えへへ! あ、そうこう言ってる間にカツ丼完成しましたよ!」

 

こちらがマルカツの「カツ丼(680円)」定食もいいけど、こっちも美味しそう! ていうか安すぎだろ!

 

「『まるかつ』のカツ丼は、サクサク感も売りなので、卵でとじきってない所もポイントですね! 美味しいですよ~!」

「もうお腹空いてきた……気づけばあと30分くらいでこの職業体験も終わりか~」

「じゃあ最後に自家製ごま豆腐を作ってもらっていいですか?」

 

「あ、さっきの定食に付いてたやつ。これも凄い美味しかった! 本当に全部手作りなんだなー」

「この鍋に材料を入れているので、焦げないように混ぜ合わせてください」

「了解!」

 

ねりごま・出汁・くず粉などの材料を適量加え、焦げないように均等に混ぜ合わせます。

 

「これ、粘度が高いから 回すのにめちゃめちゃ力がいる! 重い……! ちょっとかき回しただけなのに、もう腕がキツい!!」

「そうなんですよ~。だからやってもらってます」

「なんのなんの! 僕も男ですからね、まかせてください」

 

~10分後~

 

 

~20分後~

 

 

~30分後~

 

グギギギギギ~!

 

「腕がおかしくなっちゃうよー! いつまでやればいいのこれー!」

「そろそろOKなので、トレーに流し入れましょうか! 熱いし重いので注意してくださいね!」

「……もう腕が上がりません、リーダー」

「はいはい、わかりました。私がやりますよ!」

 

めちゃ重いし、熱くて危険なので、本来なら力自慢の僕がやるべきでしたが……30分も大鍋をかきまわしてたら腕がガクガクで、どうしても無理だったんです

 

でも、もういいんです。

 

だって……

 

本日の僕の業務、終了ーー!!! 終わったーー!!!

 

お仕事を終えて

「お疲れ様です! 一日体験してみてどうでしたか? 結構疲れたでしょ?

「もうヘトヘトです! でも、店員さんやお客さんの空気がすごく良くて、働いてて楽しかったです」

なら、良かったです! 奈良だけに!」

「キーーーン」

「店長のダジャレが寒すぎて、以前体験した冷凍倉庫のことを思い出しました」

「そんなに…? では、本日のお給料をお渡ししますね!」

 

ぃやったー! これこれこれ! ありがとうございます! ちなみにおいくらでしょうか!?」

8000円です!

「助かるゼ……。ちなみに僕の働きぶりに点数をつけるとしたら、90点ですか?」

 

え? そんな高得点を当てに来る事ある?」

「はい。今までの職業体験すべて90点だったから、今回もそうかなと。で、どうでしょう?」

「まぁ90点ですけど……」

「やったー! 点数とは別に、僕を一日見ていて、感想や評価みたいなのはありますか?」

「うちは職場のみんなが仲良しなので、みくのしんさんくらい話してくれると、コミュニケーションが取りやすくて良いですね

「僕みたいなお調子者でも働けるってこと?」

「もちろん! 真面目・素直・一生懸命・笑顔! これさえ出来れば未経験でも大丈夫ですよ! みくのしんさんは皿洗いがうまかったから、専属スタッフになってもらおうかな」

「それは遠慮しときます」

 

ということで、中々疲れましたが、冗談飛び交うとんかつ屋さんでの職業体験が終わりました。

 

最後に一日体験して気づいたことを書いておきます!!

 

・ランチ時は少々大変

お昼時は正直しんどいですが、仕事を覚えるとテンポよく事が進んで楽しいです!

・まかないが美味すぎる

一日7時間以上で、お店のメニューが食べれるまかない付き! そうじゃなくても月に4回、まるかつの無料券がもらえるそうです! 最高!

・未経験歓迎!

真面目・素直・一生懸命・笑顔。これが出来れば大丈夫! 出来ない人もここで学びたいって言ったら働かせてもらえるかも!?

・店長が書いた相田みつをみたいな「詩」が読める

お店の入口からお手洗いまでびっしり書かれています

なんなのこれ……

 

今回体験させてもらった『まるかつ』さんでは、元気で笑顔なアルバイトを募集しています!

気になった方は↓こちらまで連絡してみてくださいね!

とんかつ まるかつの求人情報

 

以上、みくのしんが体験させていただきました。現場からは以上です!

 

 

(おしまい)

※今回のレポートは、あくまでライターが体験させてもらった現場に限定したものです

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