買い物中、モロゾフの前を通りかかったらこういうのを見かけた。
プリンお皿出しチャレンジコンテスト?
すぐにスマホを取り出して特設サイトを確認してみた。
プリンをお皿に出した写真(動画)を投稿しよう!
投稿していただいた方の中から選考でオリジナルプリンキャップ&オリジナルスプーンプレゼント!
コンテストに入賞すると、プリンをおいしく食べるために作れたプリン専用スプーンがもらえるらしい。
ひと目見て心を奪われてしまった。こんな素晴らしいものが貰えるのに参加しないわけがないだろう。私はさっそくプリンを2個買った。
プリンお皿出しチャレンジ(準備編)
モロゾフのプリンはいつも上等な頂き物としてありがたく食べていたが、そういえば自分で買うのは初めてだ。
こうして自分で買って質素なテーブルに置くと何だかそわそわしてしまう。すごく贅沢をしている気がする。
モロゾフのプリンといえば重厚なガラス容器である。
どうしてこんなにがっしりとした容器なんだろう。改めて考えると不思議だ。
モロゾフのホームページを見てみると、ガラス容器について下記のように書いてあった。
「蒸しながら焼き上げる工程にも耐えられる素材」
「カラメルソースの浮きを押さえる設計」
「確かな価値を感じてもらえるフォルム」
なるほど、こだわっておられる。
さっきプリンをテーブルに置いた時にそわそわしたのは、そのフォルムから確かな価値を感じたからかもしれない。
それにしても、こんなに重厚なガラス容器をひっくり返しただけで簡単にプリンが出てくるのだろうか。
ぜんぜん心配無用だった。お皿出しの丁寧な指南が特設サイトに書いてあった。ありがたい。
私でも簡単に出来そうなのでお手本通りやらせてもらおう。
プリンお皿出しチャレンジ1個め
まずはプリンのフチに沿ってスプーンの背で表面を押しこむ。これで容器とプリンの隙間に空気が入るらしい。
お皿をプリンにかぶせる
プリンとお皿をぐるっと反転。
逆さまにした反動でプリンが落ちやしないかとハラハラしたが、そんな気配は全くない。
両手でしっかり持って横方向に軽く振る。すると、遠心力でプリンが動き、容器との隙間に空気が入りこんで下へ落ちる、という仕組みだ。
……そういう仕組みらしいのだが、プリンは微動だにしなかった。
なんだなんだ、話が違うぞ。首を傾げながら、今度はさっきよりも大きく左右に振ってみる。
反応なし。
強い。こんなに振ってるのに、びくともしない。プリンなのに強固。意味がわからなくて混乱してきた。
もう一度、特設サイトにあったコツを読んでみよう。
「落ちてこない場合は軽く縦に振ってください」とあった。これだ。
縦に! 振る!
は…………!!
バラバラになっちゃった
つらい。バラバラでも変わらぬおいしさがまたつらい。
ほろ苦いカラメルが砕けたプリンに均等にからんでおいしい。悲しい。動揺が止まらない。
プリンお皿出しチャレンジ2個め
つらく悲しい思いをしたが、まだ腕に力加減の感覚が残っているうちに2個目のチャレンジに取りかかりたい。
プリンは2個しか買っていないのでもう失敗は許されない。緊張する。
プリンが落ちてくる様子、想像の100倍こわい pic.twitter.com/xl0UwSLmbw
— かとみ (@kato_mi) July 13, 2020
今度は上下に割れてしまった。何とか形は保っているが、とてもコンテストに出せるようなクオリティとは言えない。
思ったより難しい。どうやら私はプリンお皿出しチャレンジを甘くみていたようだ。
プリンお皿出しチャレンジへの再挑戦
翌日、モロゾフに来た。もちろんリベンジするためだ。
ショーケースに飾ってあるプリンのサンプルがあまりにつるんと美しくて嫉妬してしまった。負けていられない。
モロゾフは家から遠い。失敗する度に何度も買いに来れないので、失敗を見越した数を買っておく必要がある。いくつ買えばいいのだろうか。
ふと、上段に置いてあるひと回り小さいプリンが目に入った。
……待てよ、ミニプリンのほうが軽い分、割れずにつるっと出るかもしれない。うわー! やった、これだ!
ということでミニサイズのプリンを2個買った。念のため通常サイズのプリンも1個。全部で3個もあれば万全である。
チャレンジの前にもう一度コツを復習しようと特設サイトを開いたら、対象商品は通常サイズのプリンのみと書いてあって愕然とした。
そんな……。通常サイズのプリンは手元にたったひとつ。思いがけず一発勝負になってしまった。
プリンお皿出しチャレンジ3個め
※ミニプリンは対象外のため練習用として
う………
プリンお皿出しチャレンジ4個め
※ミニプリンは対象外のため練習用として
うう……
全然うまくいかない。心がくじけそうだよ。うしろで見守ってくれているポムポムプリンと同じ顔になった。
プリンお皿出しチャレンジ5個め
ついにラストプリンになった。絶対にきめないと。慎重にやっていきたい。
丁寧に手順をこなしていこう。
スプーンでプリンのフチを押す。プリンの表面が5mm程度へこむぐらい強めに押して、容器との隙間にしっかり空気を入れる。
お皿にプリンをセット。あとは振るだけだ。
プリンを振る前に、今までの失敗から学んだ注意点を心に刻む。
必ず地面と水平に振る。上下に振ったら容器のなかでプリンがバラバラになり私の心も散り散りになったので、それだけは避けたい。
次にスピードだ。振るスピードが遅いとプリンが落ちてこない。あまり長い時間振り続けてもプリンを痛めてしまうだろう。
しかし焦ってスピードを速めれば、勢い余って振りすぎてしまう。プリンをシェイクするような状態だ。
このチャレンジはスピード調整がポイントである。勢いはあるが速すぎない、そしてプリンが動いた瞬間にブレーキをかけられる速度、これが理想だ。
深呼吸をしてイメージトレーニングをする。
速く、優しく、冷静に。でも大胆に。
よし、いける。
いざ……プリンお皿出しチャレンジ!
地面と水平に、さっ! さっ!
やったことないけど、どじょうすくいってこういう感じかもしれない。さっ! さっ!
3往復ふったところで、プリンが数ミリ下へ落ちた。
動きを止める。ひと呼吸置き、小さく振動を与えると……
きれいに落ちた!
1回目と比べると容器のなかの様子が全然ちがう。
果たして今回のプリンはイケているのか。
……これが私のプリンお皿出しチャレンジの答えである。いけた。本当によかった。
このプリンに全てを賭けたいと思う。
チャレンジを終えて
プリンがきれいにお皿に落ちる瞬間、ひどく興奮していたのにどういうわけか頭のなかは妙に冴えていた。プリンが一瞬止まって見えた気すらした。
いわゆる「ゾーン」に入っていたのかもしれない。そう考えるとスポーツである。プリンお皿出しチャレンジは、私をアスリートにさせてくれるスポーツだったのだ。
モロゾフさん、精神を鍛えてくれてありがとう。
※モロゾフ プリンお皿出しチャレンジコンテストの詳細は下記をご覧ください。エントリーは2020年7月31日の17時まで!