挨拶
こんにちは、恐山です。
いま「回文」のイベントに来ています。
知っていますか? 回文。上から読んでも下から読んでも同じになるアレです。
「ガムが……」
みたいなやつ。「ガムが」は例として不適切すぎますが。
回文を見せて競い合うイベント『回文キング 秋の回文祭り』になぜか私が出場者として招待されました。
場所は東京カルチャーカルチャー。お台場で回文を見せ合う催しが行われているとは思いませんでした。
正直言って、不安しかなかった。だって普段べつに回文とか作らないから。始まる前から「私負けましたわ」気分でした。
回文は事前に考えてくることになっていたのですが、ほんとに何も思いつかなすぎて「酷(むご)ゴム!」とだけ叫んで逃げようかと何度も思いました。
でもなんとかやりきれたので、今回はそのイベントのレポートをお届けします。
回文ファイターたち
主催、そしてイベントでは解説役を務めるのは二ノ宮よう子さん。
代表作は「ダメ男子 モテ期が来ても 死んだ目だ」や「回数か 定期か訊いて 買うSuica」など。
575で構成された「回文川柳」を得意としており、今までに作った回文川柳の数は1800弱だとか!
回文伝道師のさとーさん。
今までに作った回文の数はなんと1万個越え! 頭おかしい……。
得意分野は下ネタ回文で、作品には「膣びろびろビッチ」「我慢できない愛無き電マが」といった最低な回文も多数。
メンバー内で回文歴最長のO太郎さん。最初に回文を作ったのは大学時代、もう20年前だそうです。
今回の大会で満を持しての初出場となります。
O太郎さん、なんと全編を回文で描いた絵本も出版しているというプロ回文師です。
「イカ食べたかい?」「貝食べたいか?」「つまみのタコ頼み待つ」「値段の高いイカ頼んだね」
自然だ……!
最近の代表作は「嘘つきが蔓延、閻魔がキツそう」だとか。言われなきゃ回文と気づかないかも。
紹介しきれませんでしたが、絵を使った回文を得意とする赤川広幸さん、回文をテーマにして歌う回文ブルースさん、絵と歌で魅せる手賀沼ジュンさんなど、まさに回文の猛者揃い。
作った回文の数が4ケタの人がゴロゴロしてます。
回文初心者は私、そしておかえもんさん、田村Rさん。生き残れる気がしない。
バラエティ豊かな回文ショー
そして開演。
「3びきのこぶた」のセリフ部分をすべて回文で再現するという離れ業の朗読コーナーで場内が温まります。
手賀沼ジュンさん、回文ブルースさんは回文を盛り込んだ歌を披露。
ゲストで登場したのは、「リバースシンガー」の中田芳子さん。
テレビで見たことありませんか? 「さかさま」から唄った歌を録音し、テープを逆再生すると元の曲に聞こえるという特技を持っている方です。
生で披露された歌はとても美しく、しかも逆再生するとちゃんと知っている歌に聞こえるので満場の喝采を浴びていました。
御年84歳にしてユーチューバーでもあり、ネット上に「さかさ歌」を投稿するなど精力的に活動を続けている方です。
すごいなあ。
回文トーナメント
「すごいなあ」とか思っていたらメインコーナーの回文トーナメントが始まってしまいました。
出す回文にはお題があり、「人工知能が考えた回文とは?」という「どうすりゃいいんだ」みたいなお題にも皆さん軽々と回答していきます。
「狙イ、空へ。要ルン? 人類… 減ラソ…要ラネ…」
といった怖い回文も。
私は「廃墟で見つけた回文」として「磨かれ忘れ霊的、手入れレス割れ鏡」を披露。
私が作ったものは「予断ない災難だよ」「唾棄(だき)、破壊楽しみたい、痛み、死の対価、廃棄だ」「崖落ちて逝く故人、事故悔いて、血、お怪我」「追うぞ、人間に憎悪」など、なぜかネガティブなものばかりでした。イベントの前日の夜に必死で考えたせいかもしれません。
O太郎さんの「軟便軽く手で盛るし 汁も出て来る勘弁な」はしばらく頭から離れませんでした。
さとーさんは「歌の回文」として「草は名は無くも枯れず生き いずれ寡黙な花は咲く」を披露!
下ネタだけじゃない! すごい!
そんなこんなで盛況のうちにイベントは終了。
約2時間で100を超える回文が披露されるという大ボリュームでした。
回文はただの言葉遊びにとどまらず、お客さんを楽しませるエンターテイメントなのですね。
ありがとうございました。
主催の二ノ宮よう子さんが「回文だけで作った百人一首」のクラウドファンディングを始めているとのことです。
興味がある方は出資してみてはいかがでしょうか?