直手(じかて)で失礼します。これがメンチカツです。

メンチカツをこんな持ち方したら、指が油にまみれて大変だっつー話が今までの常識でした。

 

しかし本日、そんな前時代の常識はもろくも崩れ去ります。

なぜなら最前から申し上げている通り……

 

 

なんですね。

 

 

メンチカツです。

ひき肉と玉ねぎなどを練り合わせ、小麦粉・パン粉・卵の衣をつけて油で揚げたものの総称です。

 

「お肉の産地などにいくと良い牛肉を使ったメンチカツがあるけど、メンチはやっぱり気安い惣菜コーナーのがしっくりくるよね」

 

こういった意見は「頑張らなくてもいい、結果は同じだから」と言われているようで、すごく賛同しやすいのですが、本当にそうなのか?

 

 

海苔です。

wikipediaを読んだら、海苔の語源は「ぬらぬらする」の「ヌラ」が訛ってそうなったと書いてあったのですが、語源の話になると出てくる「訛って」の振り幅、広すぎないか?

 

「ヌラ」から「のり」になったのだとしても、途中でちょっと無理してジャンプしたようなところがないか?

わざと「のり」に寄せようとした一瞬があったんじゃないか?

 

 

でもね、そんな疑問は、どうだっていいんです。

とにもかくにも、今日やることは一つ。

 

 

 

 

メンチカツに海苔を巻け!!!!!

 

 

母から聞いた

「メンチカツに海苔を巻くと美味しいし、手も汚れずに食べれるよ」

僕に向かって最初にそんなことを言ったのは、母親でした。

 

「え? メンチカツに海苔って巻いて良かったの?」

そのとき味わったのは、僕が“常識”としていたものが丸ごとひっくり返されたような感覚です。

 

 

何よりその情報がネットなどまるでやらない、先進性とはほど遠い環境にいる母からもたらされたというのが驚きだったのです。当たり前のことですが、母はメンチカツに海苔を巻くことで、Twitterでリツイートされようとしたわけじゃないんです。

 

そもそも母には、そういう生活上のミニ閃きをインターネットでアウトプットしようという発想はありません。ネットでウケる必要のない母が、ひとりメンチカツを食べながらそんなイノベーティブな発想を温めていた。

 

これが自分にとっての驚きでした。率直に言って、「平気なのかよ」と思いました。

 

メンチカツに海苔を巻くことを思いついといて、ネットに投稿しないで平気なのかよ!!!!!

 

先越されんぞ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

いやしくも、そう思っちゃいました。

本当にいやしい発想です。

いつからだろう、こんなに人の目を気にして生きるようになったのは。

 

 

 

そしてこうも思いました。

 

テクノロジーの発展により全てが「つながる」ことを強要される時代、母のような「つながらない」人から出てくる新しさというのもあるのではないか?

 

つながる方の陳腐化に飽き飽きし、つながらないことで自らの思考を保とうとする人もいるのではないか?

 

 

すでにつながっている部分だけが、“世界”の全てではない。

 

つながっていない部分に、発見や危険、機能不全に陥っている箇所がある。

そんな気持ちを大切に生きていこうと思いました。

 

 

メンチカツに海苔を、巻け。

 

 

 

ちなみに言うと、そこまで劇的に美味くなるというわけではありません。

 

 

 

(おしまい)