こんにちは。ヌートン編集部です。

我々は普段、インターネットの片隅でオシャレとはかけ離れた心底恥ずかしい活動ばかりしています。

 

 

 

そんな僕達も、たまには「オシャレっぽいことやってみよう」と考えました。例えば…

 

 

 

街中を歩いて、昔の恋人との想い出にふけってみたい…。

 

それってなんとなく、オシャレっぽいじゃん?

そう考えてる瞬間の自分、その街で一番“絵”になってる気がするじゃん?

 

 

こういう事考えたい。景色を眺めつつこういうメランコリックな物思いとしゃれこみたい

 

しかし、我々はオシャンティーな恋愛経験を積んでこなかった陰(いん)の者ばかり…。

想い出を語りたくても、引き出しはスッカラカンな状態です。でも、オシャンティーな恋愛を語ってみたい…。

 

ああ…。こうなったら…

 

 

 

もう嘘でもいいから…存在しない偽の恋人でいいから…

昔の恋人の思い出を語りたい。

 

 

語りたいので…やってみます。

 

 

 

 

今回、この企画を実行するメンバーがこちら。

 

 

 

平然と自身の恋愛観を表に出せる精神のマゾヒスト3人。

 

普段は「いかに私服を安く済ませるか」にしか頭脳を巡らせない彼らですが、今回は恋人との想い出にふけってそうな人の服装で参戦です(『服 オシャレ めちゃヤバい』で検索しまくりました)。

 

 

▼この企画の流れはこんな感じです▼ 

 

これだけです。要するに街をブラつきながら嘘の元カノとのエピソードを語るというだけ。果たしてどんな想い出話が披露されるのでしょうか?!

 

 

たかやが語る「存在しない恋人」とのエピソード in高円寺

普段のたかや

 

まず最初の語り手となるのはライターのたかや。私生活ではまったく恋の発展が無く、最近では子豚の動画を観て悲しみを押し殺しているんだとか。

 

 

 

そんな彼が選んだ場所は、サブカル層に人気の街・高円寺

 

 たかやの意気込み

「まずは僕から語らせてください。「高円寺の商店街」をテーマに存在しない恋人とのエピソードを考えてみました。

タイトルは『ありふれた日常の幸せに気付けなかった僕、君はいつも笑ってくれてたね』です」

 

休日は恋愛漫画ばかり読み漁り、あらゆる恋のシチュエーションに憧れを持っているたかや。そんな彼の考えたエピソードがこちら。

 

 

 

▼たかやが考えた「存在しない恋人との思い出」

 

「私はこの街が好きだな。特別なにかが“新しい”街ではないけど、だからこそいつでも『おかえり』って言ってくれてる気がするの。」

 

―――そう言った彼女と別れたのが3年前。あの頃、僕と彼女は毎日のようにこの高円寺の商店街を2人で歩いた。惣菜屋からただようメンチカツの匂い。路地裏にひっそりと佇む居酒屋の赤ちょうちん。高円寺独特の雑多な街並みが僕も彼女も好きだった。

 

 

 

出不精な僕達は遠出をすることもなく、デートも決まって高円寺だった。商店街の中にあるクレープ屋がお気に入りな彼女。

 

デートでクレープなんて、ありきたりなカップルの様で僕は少し気恥ずかしかった。…でも今思えばなんでもないありふれた出来事が本当の幸せだったのかもしれないし、そう考えると僕の自意識なんて初めから意味なんてないのかもしれない。だからこそ意味があるのかもしれないし、そこには初めから何もなかったのかもしれない。

 

 

 

 

甘くて、正直あの頃は苦手だったクリームのクレープ。数年ぶりに食べて思い出した。…このクレープは、僕達の味だ。

思わず鼻でクリームを吸ってしまうほどだ。

 

 

 

 

僕の収入が低く、記念日に洒落たレストランに連れて行ってあげることもできなかったあの頃。せめて花の一本でもプレゼントできたらよかったんだけどその花すら買う金もなかった。そんな僕に「君と一緒にいれるだけで私は幸せ」と言ってくれた彼女。

 

花なんかなくても毎日笑い合える僕達の関係はこれはこれでアリかもしれないし、だからこそアリなのかもしれない。たぶん…そういう事なのかもしれない。

 

 

 

 

彼女との最後の別れ話。場所はこの公園。

 

「私よりもっと素敵な人を、君なら見つけられるよ」

 

最後まで僕のことを気遣ってくれた彼女。それなのに「……アパートの更新日が来月だから、それまでは待たない…?」としか言えない僕はなんて情けないんだろう。あの時、彼女の顔を上手く見れなかった。君はどんな顔をしていたのかな?

 

 

 

 

久々にこの街を訪れて、君と2人で過ごしたあの時間を思い出したよ。でも…今の僕の心はポッカリと穴が空いたままなんだ。

 

君が居てくれたから、僕は独りの悲しさを知ることができたんだ。

 

ありがとう高円寺。どうか、今の君が幸せでありますように。そんな呟きを、高円寺駅2番線ホームからお届けします。

 

 

 

 

~fin~

 

 

オーディエンスの声

うるせ~~~~~~~~~~~

・読んでて背中がゾワッとした

・自己陶酔感が強すぎて引く

・「~かもしれない」が多くて、ずっと煮え切らない文章

・「あの時君はどんな顔をしていたのかな?」←ドン引いた顔に決まってんだろ

・働け

・即興でよくここまで練れたな

 

トップバッターにして、かなりの本気度を見せてきたたかや。しかし、力を入れ過ぎたあまりオーディエンスからは批難が続出する結果に。

 

 

「存在していようと…していまいと…僕の心にだけ居てくれれば、それが真実のトゥルー・ラブなのかもしれないね…」

 

はい。

 

 

ARuFaが語る「存在しない恋人」とのエピソード in池袋

普段のARuFa

 

続いての語り手となるのはARuFa。今回の参加者の中で最も恋愛経験が無い彼。高校時代には、自分宛のラブレターを自分で描き、それを自分の下駄箱に入れていたという悲しい青春を送っていました。

 

 

 

場所は池袋を選んだようです。

 

ARuFaの意気込み

「そもそも僕は恋愛経験が無いのですが、『存在しない彼女との嘘の思い出を話す記事』なんて、そんな僕にピッタリだと思いませんか? なので頑張ります」

 

日頃アニメを観ながら1人で酒を掻っ喰らい、「無い」妄想ばかりしているARuFa。どんな「存在しない恋人」のエピソードを披露してくれるのでしょう。

 

 

 

▼ARuFaが考えた「存在しない恋人との思い出」

 

 

「今日はこの冬一番の寒さになるでしょう」

 

天気予報がお決まりの台詞で冬の到来を告げる頃。なぜか僕は毎年のように池袋を訪れてしまう。

 

「なぜか」だなんてとぼけてみたけど、理由なんてとうの昔にわかってる。10年前のあの日―――今日みたいにやけに寒い日に、『アイツ』と過ごした最後の記憶を思い出すためだ。

 

 

 

 

……思えばアイツは昔から時間にルーズだった。待ち合わせをしても、時間通りに来たことなんて一度もなく、僕はいつも待たされる方。

 

当時、携帯電話を持ってなかった僕が公衆電話から電話をすると、決まってアイツは寝ぼけた声で「ごめん! 今起きた!」なんて言うんだ。

 

あの日だって、そうだった。

 

 

「もしもし?待ち合わせ場所についたよ?」

 

 

「ご、ごめん! じつは、今起きた……」

 

 

「また寝坊?」

 

 

「ほんとごめん!今からすぐ行く!昨日の夜、ARuFa君のことを考えてたら眠れなくなっちゃって…」

 

 

「僕も昨日の夜、君のことを考えてたよ」

 

 

「えっ!」

 

 

「今、どんな何色の下着を履いてるのかな~って(笑)」

 

 

「もー! バカ(笑)」

 

 

「ごめんごめん」

 

 

「アホ(笑)」

 

 

「ごめんごめん」

 

 

「カス(笑)」

 

 

「ごめんごめん」

 

 

「カスの下痢便(笑)」

 

 

「ごめんごめん」

 

 

「肥溜めの竜巻(笑)」

 

 

「ごめんごめん」

 

 

「馬糞だけ入った、おせち(笑)」

 

 

「ごめんごめん」

 

 

「最悪のおにぎりの具、『クソマヨ』(笑)」

 

 

「ごめんごめん」

 

 

「ウンチで作った家に住んでるから、雨降ったら、雨漏りが、臭い(笑)」

 

 

「ごめんごめん」

 

 

プツッ……ツーツーツー

 

 

公衆電話に入れた硬貨が切れ、他愛もない無邪気な会話が途切れる。街の喧騒が再び耳にフェードインし、途端、12月の容赦ない寒さが温まりかけた心を冷やした。

 

その時の孤独感を、僕は今でも覚えている。

 

 

 

それからはずっと、こうやって凍えそうな指先を吐息で温めながら、アイツの到着を待ってたっけ。

 

アイツは普通に新潟県に住んでいるから池袋までは3時間くらいかかるんだよな。

 

 

 

そんなときは、趣味のカメラで街中の風景を切り取ってたっけ。

 

 

パシャッ

 

 

 

 

きったねえレンガ。

 

池袋はすべてがあり、そして何もない街だ。愛する人がいるけど会うことはできない……そんな自分の状況に重ね合わせるにはピッタリで、当時の僕はアイツが来るまで池袋中のきったねえレンガを撮ってたっけ。

 

 

 

池袋に到着したアイツが待ち合わせ場所に指定したのがココ。サンシャインシティだったな。

 

3時間も遅刻した上で、待ち合わせ場所まで指定してくるだなんて図太いヤツだけど、そんなアイツの図太さに惚れたのは何を隠そう僕自身。

 

「やっと会える!」とかなんとか言って、クリスマスツリーの後ろに隠れて、遅れてきたアイツを脅かそうとしたっけ。

 

 

 

しばらくしたらアイツの声が聞こえたから、「おせーよ!」とか言ってクリスマスツリーの裏から飛び出してみたんだけど、

 

そしたらアイツ、なんて言ったと思う?

 

 

 

 

「別れよう」だってさ。

 

 

 

 

なんか、ほかに彼氏がいたんだってさ。

 

 

 

 

しかも6人。

 

 

 

 

しかも6人とも、俺のクローン。

 

 

 

 

だから今でも6人の俺と一緒に暮らしてるらしい。

 

 

 

 

 

普通に怖くない?

 

 

 

 

だから気が狂って猫になっちゃった。

 

 

おわりです。

 

 

 

~fin~

 

オーディエンスの声

・気が狂って猫になるな

・恋愛経験が少ないから途中から体力が尽きてる

・オチに困ったからって自分を6人に増やすやつがあるか

・あと池袋中のきったねえレンガを撮るな

 

導入ではオシャレっぽいエピソードになるかと思いきや、途中からしびれを切らしたARuFa。

自身の恋愛経験の少なさが仇となったようです。

 

 

原宿が語る「存在しない恋人」とのエピソード in人形町

普段の原宿

 

最後にチャレンジするのは、ヌートンの姉妹サイト・オモコロの編集長でもある原宿。

度の強いメガネのオタクだったので恋愛経験はほとんど無かったそうです。高校時代、好きな女子の机に差出人不明のぬいぐるみをプレゼントとして置いたことがあるんだとか。怖いからやめようね。

 

 

 

ちなみにこちらは若かりし頃の原宿の写真。今回のメンバーの中でも断トツでイケてなかったことがわかります。

 

 

 

選んだ場所は東京の下町、人形町とのことです。

 

 

原宿の意気込み

「僕は東京生まれではないので、江戸っ子情緒の残るこういう町に憧れがあるんですよね。こんな街で大人の恋愛をしてみたら……一体どうなっちゃうの!?

 

いったい原宿の考える「大人の恋愛とは」どのようなものなのでしょうか。

 

 

 

▼原宿が考えた「存在しない恋人との思い出」in 人形町

 

 

この街に、もう君の声は聞こえない。いくら耳をすませても。

 

 

 

春に君と出会って、秋に愛がこの場を去って、僕の中の“音”はすっかり変わってしまった。音だけじゃない。僕たちの生きるこの世界では、面影も、街並みも、全てが変わっていく。変わらないものなんてあるだろうか。

 

 

 

「だから神の前で変わらない愛を誓うことに、意味なんてないんだ」

 

そう言って去っていく僕を、君は寂しそうに見送った。正直に言うと、僕は怖かったんだ。変わらない君の愛が、変わってしまう僕が。

 

でもねダーリン、この街にはまだ、あの頃のまま変わらないものがあったよ。

 

 

 

立ち食いそば きうち

 

 

 

「朝の綺麗な空気と一緒に吸い込む、ダシの匂いが好きなの」

君は言ってた。

 

「人形町は、立ち食いそばの激戦区なの」

そうも言ってた。

 

 

 

ごろっとイカを感じるゲソかき揚げの旨味が、上品ですっきりとしたダシに溶け出していく。コシを感じる太めのそばに、柚皮のアクセントも嬉しい。二人の凍えた心は、いつもきうちのそばが温めてくれたね。このそばを食べると、いつも僕の中に鳴り響く音があるんだ。

 

 

 

カチャッ

 

 

 

スッ

 

 

 

(♪「桃色片思い」 ストリングスアレンジ)

 

 

 

君との思い出を辿るあしあとが、僕の心の五線譜に音となって連なっていく。ハーモニクスの導くままに僕は向かうんだ、君の心をトレモロのように震わせたあの場所へ。

 

 

 

福そば

 

 

 

「まるで体の一部だったかのように、そばがするっと体の中に入っていく瞬間が好きなの」

君は言ってた。

 

「人形町は、立ち食いそばの激戦区なの」

そうも言ってた。まろやかなつゆの味が呼び覚ます、君との思い出。

 

 

 

あ……………

 

 

 

牛がいる………

 

 

 

牛の下を吹き抜けた風は、君とかつおだしの匂いがした。

 

 

 

いつからだったろう? 涙を人に見せなくなったのは。いつからだったろう? そばに七味をかけるようになったのは。答えは風の中にある。今行くよ、君の元へ。君の陽炎が揺れる、あの場所へ。

 

 

 

きしめん 寿々木屋

 

 

 

 

「きしめんが食べれるおそば屋なんて、珍しいでしょ?」

「うん」

「人形町はね、立ち食いそばの激戦区なの」

「本当に、そうだね。本当に」

 

そう言って二人笑った日々を、僕は忘れない。変わっていく時代の中で、いつまでも覚えていること、変わらないこと。それが僕なんだ。

 

 

 

My name is ゆで太郎.

 

 

~fin~

  

オーディエンスの声

・立ち食いそば屋の紹介レポ?

・恋愛コラムかと思ったらただの食べ歩きレビューじゃねえか

・エピソードも恰好も1人だけベクトルが違う

・「人形町は立ち食いそばの激戦区」ということだけわかった

 

何がしたかったの? この人。 

 

 

いったい何だったのか

 

「街をブラつきながら存在しない恋人との偽の思い出を語る」というこの企画、いかがだったでしょうか? 

 

 

 

人の数だけ恋のドラマが生まれるように、彼らが語った「存在しない恋人」のエピソードもまた1つの恋の形。

 

 

 

皆さんも、街を歩くときは「存在しない恋人」との思い出にふけってみてはどうでしょう…。

 

もしかすると…『真実の愛』が見つかるかもしれませんよ。

 

 

 

~fin~

 

 

 

 

……いや、どうなの? わからん! 

 

 

「存在しない恋人との偽の思い出」ってなに?! どういうこと?!

 

  

なに?!

 

 

も~~~わからん!

 

 

 

も~~~わからん!!!

 

 

 

 

 …要するに! 今回発表したことは全て、存在しないの恋人との思い出……つまり「ニセものの恋の思い出」です。

 

 

 

 

 

そう……

 

 

 

 

 

 

「ニセコイ」……!

 

 

 

 

というわけで、このたび映画「ニセコイ」と、秒速で1万円のマッハボーナスがもらえる「神マッハバイト」がコラボレーションし、バイトに参加してくれる人を大募集中です。

 

映画を見た人がカメラに感想を言うCMのアレを、映画を見ずに適当に答えるお仕事や……

 

 

 

「マジのコイ(鯉)」か「ニセのコイ(外来魚)」かを見分ける仕事……

 

 

この2つのお仕事が、コラボバイトとして現在募集中です。どちらもすぐに終わって、かつボーナスとして1万円がもらえるので、金欠の人はぜひ応募してみてください。

 

 

 

 

僕たちはそこそこ良い服が買えたので満足です。さようなら。

 

(終わり)

 

©2018映画『ニセコイ』製作委員会 ©古味直志/集英社