二度目の手紙の内容は、
強く生きる「お母さん」からの叱咤激励だった。
人様に迷惑をかけずに、苦しみ、楽しみながらも
一生懸命に生きること。
漫画や小説、映画などの中でしか聞いたことがない台詞も
実の母親から言われると、心に重く響いた。
「お母さんは、子どもを捨てた罪悪感を持っているはず」
こんな勝手な想像をしたのは、間違いだったようだ。
それぞれの事情があり、仕方なく選んだ選択肢。
その結果、20年離ればなれに暮らすことになったとしても
「お母さん」は、今でも「お母さん」のままだった。
何より同封された写真を見て、色濃いDNAを感じた。
目元が僕とソックリだ。
これまで顔を思い出すこともできなかったけれど、
写真を見ていろいろな記憶がよみがえった気がする。
底抜けに明るい「お母さん」だった。
そして“苦労”を糧にした強い「お母さん」だった。
何より57歳という年齢を感じさせない
キレイな「お母さん」だったことが少し嬉しかった。
(つづく)