第8回「みんな大好きパワプロクンポケット回!
  

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僕はほぼ毎日キャノピーに乗って出前の配達をしている。

普段バイクに乗らないので中々にビビりながら配達をしていたが、一週間もすればバイクが欲しくなるほどまでに運転を楽しんでいる。

バイクは良い。

通常出前がない時は、飲食店なのでホールの仕事や調理補助、食器洗いと中々に慌ただしく動いている。

そんな中に出前の電話があると僕はめちゃめちゃ嬉しいのだ。

会社員時代の頃、仕事中にお腹痛いフリして席を立ち、個室のトイレで一息ついてサボっていたあの感じに近い落ち着きがある。

そんでもそれって結局サボってるから2分くらいしか休めないし、そわそわしちゃってそこまで落ち着けない。じゃあすんな。
でも出前となると仕事だから誰にも咎められること無く一人ぼっちになれる。それが最高。

この時期なんて雨さえ降らなきゃ風が気持ちいい。

知らない街なのに、どんどん道を覚えていったり、なんだか毎日少しずつ知り尽くしている感じがなんとなく気持ちいい。

僕が働いている所は高層マンションが立ち並ぶような大都会の中にあり、必然的に配達先もそういう所に行くことが多い。

一言でマンションと言っても作りやセキュリティも異なるので、当然どのマンションも入り方から容器の回収方法も全然違う。

あそこのマンションはこうしてからあそこに入ってからああしてこうしてー…みたいのがある中、関係者用エレベーターに乗る。

この関係者用エレベーターが存在することはもしかしたらどのマンションにも言える共通点の一つかもしれないけれど、それがなんだって事はない。

ただ、最近出前をしていると良く会う人がいる。

配達業者の人で名札には「海坂」と書いてある。
身長は155cmくらい、黒に少し茶色がかった髪色で年は23~25くらい。一重のタレ目でぼーっと何考えてんのかわからない様な顔をしている。少しずんぐりしているような体つきの女性だ。

僕がこのお店で働きだしてまだ1週間やそこらの時から良く会う。そして、よく会話する。

どこで会ってるかを書き忘れたのでかるく説明すると、お互いが同じマンションの違う誰かに配達をする時によく出会う。

僕のお店の常連さんと、その子がよく配達するマンションが同じってだけなのだが、それがまあ重なる。

「だからって普通に考えて会話までする?」

いや、おれもそう思う。エレベーターで顔合わせるなんて長くて1~2分だし、それなのに会話するってよくわからん。しかしそれにも訳がある。

お互い顔見知りのようでそうでもない。むしろエレベーターで一緒になったら「知ってんのに会話できない奴来た…なんか気まずー」みたいに思ってた頃に、そのマンションの関係者用エレベーターに点検が入った事があった。

その時間は朝方の1時間。その1時間に僕とその子はぶち当たった。

エレベーターの前に行くとその子がぼーっとエレベーターの張り紙を見ている。「なんだ?」って思って僕も紙に目をやると一時停止中の文字と謝罪文。
そして僕はこれから前日配達した容器の回収に37階へ行かなきゃならない。「最悪だ…」っと口から溢れそうになったと同時にその子も「あー最悪じゃん」と呟いた。
二人は目があうと軽く会釈をして、お互い1歩半ずつ横に避け、仕方なく階段で登ることを各々腹に決めた。

…のにお互いエレベーターの前から一歩も動かない。

「え?なにこれ?」「おい」「気まずっ」「先に登ってくれ…」「なんだよこの時間」「えーーー…」

などと思ってたらその子が「何階行くんですか?私41階なんですけどどうせ登るなら一緒に登りません?だってこんな時間にエレベーター止まります~?それよりー…」
みたいな感じで気まずい空気をあっちも悟ったのか一生懸命この間を潰してるのがわかった。

「あ、僕は、37階…です」
「37って私より4つも短いじゃないですか!!」
「いや、もうそこまで行ったら変わらないですよ…」
「じゃあ私の分登って下さいよ!……えーと、名前…」
「あ、みくのしんです。みくのしんって言います。」
「は?」
「えーと本名で…」
「そんなはず!」
「いや、未来って書いてひらがなのえみたいなーー…」

長くなったけどこんな感じで知り合った。
40階近くあるマンションを2人で昇り降りすれば仲も良くなり、そっからそこのマンションへ行くのが楽しみなった。

出来るだけ毎日会いたいと思って、そのマンションへ出前する時はただお会計をしてサヨナラで済ますのではなく、オススメの商品なんかをお客さんに話かけて、次また出前をとってくれるように努力した。
もちろんお店でも評価された。
「みくのしんが入ってからあそこのマンションの注文増えたよ!」なんて言われて時給だって上がった。

よくプロボクサーに「なんでボクシングを始めたんですか?」って聞くと「モテる為」って答えるのに似ている。完全に僕はその子に1秒でも多く会いたいからした努力であって、決してお店を軸に考えてたわけじゃないのに褒められたりする。まぁそう言うと角が立つから今のはナシ。

そんなこんなで仕事が週6もあって嫌だと思ってたのに、むしろ週6あって嬉しい!なんて今思えてる。
最高…!!!!

…だった。

ある日の朝。

いつもの様に配達、回収を行い、いつものマンションへ行った。「…今日はいないか」そりゃ会わないときも多々ある。でも数分後に出前が入ったら会うことだってある。僕たちはそんな不思議な関係だ。「ただ残念だな…今日渡しておきたい物が…
と思っていた次の瞬間。

ブリイイイイイイイイイイィィィィィィ!!!!!!!!!

「なんだ!?下痢!?」

とんでもない爆発音が聞こえた。絶対下痢だ。どえらい下痢を漏らした音だ。
ただ、僕以外に誰もいない。そして臭い。

エレベーターの方を見るとは5・・・4・・・3・・・と1階に近づいてくるのがわかる。どんどん臭い。絶対中にいる。

「来るな」
そう思った。ここにいたくない。このエレベーターに乗りたくない!開いて欲しくもない!!!

2・・・1・・・
チーン

無情にもエレベーターは扉を開けた。

もわぁ…

そこにはうんこまみれでワンピースのルフィがギアセカンドをする時のポーズをしている君がいた。

「くさっ!」

どうしてこういう事になったのかわからなかったし、怖くて逃げた。

そっから先はその子は現れなかった。

多分後始末をしてる時に嫌になったんだと思う。(隅っこの汚れとか落ちづらいし)

ここで話はおわるけど、せっかく仕事するんだから、こんな出会い、あってほしいな。

 

bye!!