第1回「ただいま、オモコロ。」
  

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OP/いとしいご主人様 ED悲しみのラブレター
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長イキアキヒコさんとのライン

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長ちゃん……!!!!

 

 

 

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放送ゴキーかまど

 

 

次の文章は、みくのしんのブログ「陰陽師のクリアファイルを踏んづけた思い出」の全文である。これを読んで、のちの問い(問1〜6)に答えよ。(配点50点)


 

トラウマじゃないけど今でもずっと覚えてる事ってある。

 

小学生の時 2歳年下の弟が陰陽師(注1)って映画にめちゃめちゃハマっている時期があった。

僕には何の魅力もわからなかったし何で陰陽師にハマったのかもわからない。だけど弟は心から陰陽師を楽しんでいたし、ずっと一人で陰陽師ごっこをしていた。

 

ある日テレビを何気なく見ていると陰陽師の続編「陰陽師2」が公開される事がわかった。弟は跳ねて喜び、日々行われている陰陽師ごっこにも一段と磨きがかかっていた。

 

「陰陽師2は絶対最初に行くから!絶対に!ねえ!お願い!」

 

弟が何かにハマる事に関して僕を含め両親も嫌な顔はしなかった。何故なら低学年の子供が陰陽師と言う映画にハマってるのが見ていて楽しかったからだ。

 

両親は快く(ア)ショウダクし、僕の一家は陰陽師2を公開初日に観に行くことが決まった。

 

そして公開当日
内容はと言うと全く覚えていない。覚えてるとすれば陰陽師達が陰陽の限りを尽くして空中を飛び回っていた事しか覚えていないし何でそうなったかなんてこれっぽっちも記憶にない。

 

それでも弟は大満足の表情で、本編が終わりエンドクレジット(注2)が流れ終わった後、劇場が明るくなっても目をキラキラさせたままスクリーンをじっと見ていた。

 

「かっけえ…」

 

そう言っていたけど僕はこの後家族みんなで行くピザ食べ放題のお店シェーキーズ(注3)がこの日のメインだったので早く離席しねぇかななどと思っていた。

 

我が家がパンフレットを買うタイミングは映画を見終わった後だ。

 

映画を見る前にその内容に触れたくないし混んでいたら「また今度ね」という理由で親が余計なお金を使うことなく済むという理由もある。

 

それでもこの日の弟はそれを許さなかった。

 

「パンフレット買う!!ストラップも!!」

 

我が家は(イ)ユウフクではないし、なるべく無駄なものは買ってはいけないと教育されている。

なので僕は「ウチお金ないんだから無理だろーな」っと思っていた。しかしこの日の弟は違う。

 

「ねぇ、お母さん。おねがい。本当にお願いします。」

 

無理な空気を察したのかただ泣きじゃくって騒ぎ立てて駄々をこねても無駄だと思ったのか本当に欲しいと言う気持ちからなのか。今となってはわからないが弟は誠心誠意、自分の気持ちを伝えていた。

 

A「わかった。いいよ(笑)」

 

残念ながらストラップは売り切れでその日買ったのはパンフレットとクリアファイルだ。

 

 

それはそれは大喜びしていた。特にクリアファイルをやけに気に入っていた。

 

その後のピザ食べ放題のお店でも帰りの電車でもずっと大事そうに持っていたし。

 

家に帰ってもそれを使って陰陽師2ごっこをしていたしそれを抱きしめてその日は寝ていた。さながらトイ・ストーリー(注4)のアンディが大事にしているバズとウッディそのものだった。

 

翌日、

 

相変わらず陰陽師熱が冷めない弟は飽きることなく陰陽師ごっこをして疲れては、汗を(ウ)ヌグながらパンフレットを見ていた。

 

その時だった。

 

今までかわいかった弟のその行動に急に腹がたったのだ。

 

多分自分には陰陽師の良さがわからなくて弟がそれにハマっているのが異様に(エ)ウラヤマましかったのだろう。そして僕はこう思った。

 

「陰陽師を踏みたい」

 

今だってその時の感情はよくわからないけど、多分度の超えたイタズラをしたかったんだろう。悪い性格だ。でもただ踏んだのでは何も変化が無いのがクリアファイル。

弟のいないところでいくら踏んでもあんなもの見た目には変わらない。

 

弟の前で踏むことで「俺は陰陽師には興味が無い!」そう弟に見せつける必要がその時の僕にはあった。 B再度言うが本当に性格が悪い。

 

作戦はこうだ。

 

毎朝起きると寝室に引いてある布団を畳んで押し入れに入れるのだが、その時に布団で足元が見えないという事をいかし「気付かなかった」という理由で陰陽師クリアファイルの上をあえて通りそして踏み潰す。

 

僕の中では作戦は完璧だった。夜、陰陽師を抱いて床についた弟を横目にその日は寝た。

 

次の日

 

僕は寝過ごした。もう自分が寝ている布団以外は畳まれていて起きたら弟が早速陰陽師ごっこをしているではないか。

 

僕は慌てながらも冷静に起き上がり、布団をたたみ、そして布団を持ち上げる前に陰陽師クリアファイルの場所を確認。

 

しめたっ!

ごっこ中にもかかわらず弟はその一枚を放置していた。

 

しっかりとその場所を頭に入れて僕は布団を持ち上げ、

クリアファイルを

踏んだ!!!!!

すると弟が「あ!!」と言ったのと同時に僕はズルルルルルルルーーー!!!と滑り、ダンッ!と大きい音を立てて転んだ。

 

こんなに滑るとはおもわなかったが僕は満足だった。

 

すると弟は泣きながら

 

「陰陽師がああああ陰陽師があああ」

 

とクリアファイルを抱きかかえた。

そこには僕が踏んづけただけではなく、滑ることで(オ)ヒネが加わり へっしゃへしゃになった陰陽師の姿があった。

 

そこまでするつもりはなかった。

 

ただ踏むだけでよかった。

 

クリアファイルの性質上一度折り目がついたら元には戻らない。

 

それが へっしゃへしゃのクッシャクシャになってるのだから弟は大泣きした。

 

そこへ母親が飛んできた。

 

「どうしたの!?」

 

僕は怒られることを覚悟した。そりゃそうだ。元からこんなことするもんじゃない。最低な兄だ。そう冷静になっていた所に母親は、

 

「お兄ちゃん大丈夫!?」

 

といったのだ。 僕は唖然としたがそんな暇もなく母親は弟に向かって

 

「お兄ちゃんが大怪我したらどうすんの!!!いい加減にしなさい!!!」

 

そう、弟を怒鳴った。

 

弟は悲しみに悲しみが重なり自分の痛みは誰にも理解されないその時を、ただただ泣いて過ごしていた。

 

僕はもういてもたってもいられなくなりその場を後にリビングに向かったが、その時真っ赤な目で僕を睨んでいた弟の顔は今でも覚えている。

 

あれから何年も経っているが弟に会うたんびに思い出す。

悪い事したなあ…

 

(注)

 1 陰陽師……2001年に滝田洋二郎監督、野村萬斎主演で製作された日本映画。

 2 エンドクレジット……映画のストーリー終わりに出演者、スタッフ、制作に関わった企業、団体などの名前を表示するもの。

 3 シェーキーズ……アメリカ合衆国発祥のピザ専門のチェーン店。バイキング形式でピザ・フライドポテト・パスタ・カレー等の食べ放題と言うスタイルを採用し、店舗によってはデザートもある。

 4 トイ・ストーリー……1995年に公開されたフルCGアニメーション映画。「アンディ」「バズ」「ウッディ」は同作品のキャラクターである。

 


 

問1

傍線部(ア)〜(オ)に相当する漢字を含むものを、次の各群の①〜⑤のうちから、それぞれ一つずつ選べ。解答番号は【1】〜【5】。

 

【1】
(ア) ショウダク 

①人類にケイショウを鳴らす
②浮気のショウコを突きつける
③実行するには時期ショウソウだ
④キショウ転結のあるストーリー
ショウジン料理が振舞われる

 

【2】
(イ) ユウフク 

①テンユウ神助を得て勝利した
②ヨユウのある対応をとる
③二人の視線をユウゼンと横切った
④眼下にユウダイな景色が広がる
⑤北海道の観光地をカイユウする

 

【3】
(ウ) ヌグいながら

①シンショクを共にした仲
②悪いイメージをフッショクする
③せめてものショクザイにお金を送る
④店内を鮮やかにソウショクする
⑤ギンショクの光に照らされている

 

【4】
(エ) ウラヤましかった

①世の職業にキセンなし
センダンは双葉よりも芳し
③一騎トウセンのつわもの
センボウの眼差しを浴びる
⑤農業にセンジュウする

 

【5】
(オ) ヒネ

①不摂生がたたり胃のネンマクが荒れる
②開店のための基本資金をネンシュツする
③豊かな山では美味しいジネンジョが採れる
④締め切った部屋でしか生息できないネンギョ
⑤中学2年生の頃の気持ちがサイネンする

 

 

 

問2

傍線部A「わかった。いいよ(笑)」とあるが、このときの母の心情はどのようなものか。その説明として最も適当なものを、次の①〜⑤のうちから一つ選べ。解答番号は【6】。

 

①必死にパンフレットをねだる子供の様子に不満を抱きながらも、無駄なものは買ってはいけないという自分の教育が無駄だったことを自嘲している。

②映画を見終わった後の独特の高揚感に浮かれながらも、余計なお金を使うことになるという現実に気づき苦笑している。

③たかが映画のパンフレットのために駄々をこねる姿に半ば呆れながらも、そのいかにも子供らしい様子を可愛く思っている。

④いつになくひたむきにお願いしてくる様におかしみを覚えながらも、それほど映画に夢中になっている子供を愛おしく思っている。

⑤自分は内容も覚えていない映画のために必死になる子供を微笑ましく思いながらも、その熱意に根負けした自分におかしみを覚えている。

 

 

 

問3

傍線部B「再度言うが本当に性格が悪い」について、この一文の説明として最も適当なものを、次の①〜⑤のうちから一つ選べ。解答番号は【7】。

 

①性格の悪さを自覚していることを念押しすることで、読者からの批判に先んじて言い訳をしている。

②今となっては理解できない過去の自分に対し冷静な現在の自分からの感想を述べることで、己の幼少期を後悔の念とともに回想している。

③内心悪いとも思っていない点をあえて過剰に揶揄することで、読者からの同情を引こうとしている。

④あくどい計画に夢中になっている自分を客観的に説明することで、あくまで子供の頃の自分の話だと強調している。

⑤自分自身の振る舞いを冷静に分析することで、幼少期の自分を今とは別の人格を持つ個人として無機質に表現している。

 

 

 

問4

傍線部C「へっしゃへしゃになった」と傍線部D「へっしゃへしゃのクッシャクシャになってる」の、それぞれの表現の説明として最も適当なものを、次の①〜⑤のうちから一つ選べ。解答番号は【8】。

 

①傍線部Cでは、計画通りにクリアファイルを踏めたことへの満足感を、作者の興奮とともに表現している。傍線部Dでは、より悲惨な擬音を足すことで、もうどうしようもないと捨て鉢になっている様子を表現している。

②傍線部Cでは、間の抜けた擬音で、意図せず起きた悲惨な事態を、おかしみとともに表現している。傍線部Dでは、状況を整理した上で、取り返しのつかないということを再確認し、罪悪感が芽生えている様子を表現している。

③傍線部Cでは、思いがけないハプニングにより茫然自失となっている様子を表現している。傍線部Dでは、クリアファイルの状態をより正確に描写することで、それが現実であると気づき、いてもたってもいられない様子を表現している。

④傍線部Cでは、強い語感の擬音を使うことで、この世の無常さを無機質に表現している。傍線部Dでは、変わり果てたクリアファイルと弟の泣き顔を対比する一語を付け加えることで、事態を情緒的に描いている。

⑤傍線部Cでは、転んだ痛みに気を取られクリアファイルに意識が及んでいない様子を表現している。傍線部Dでは、改めて状況を把握し自分の成果を確認したことで、ささやかな手応えを感じている様子を表現している。

 

 

 

問5

傍線部E「僕は唖然とした」とあるが、この時の心情はどのようなものか。その説明として最も適当なものを、次の①〜⑤のうちから一つ選べ。解答番号は【9】。

 

①当初の計画にはなかった母の援護を受けたことに呆気にとられながらも、自分の悪事が俎上に上がらないことに得意になっている。

②叱責を受けるつもりだったが母の思いがけない言葉に肩透かしをくらい、状況がいまいち飲み込めないでいる。

③母が飛んできたことで事態が深刻になっていることに怯えながらも、気持ちの整理がつかないでいる。

④母が自分の味方をしたことで、かえって兄としての自覚が芽生え、親にすら悲しみを理解されない弟に対し、同情の念を覚えている。

⑤自分の覚悟をないがしろにされたことに不満を覚え、弟を怒鳴りつける母のずれた態度に呆れている。

 

 

 

問6

この文章の表現に関する説明として適当なものを、次の①〜⑥のうちから二つ選べ。ただし、解答の順序は問わない。解答番号は【10】・【11】。

 

①当時の自分視点からの心情表現を一切排し、回想する現在の自分を文章の主体とすることで、トラウマとも言える幼少期の体験を、第三者の立場から中立に描いている。

②貧しい家庭の暮らしがもたらす悲壮感を丁寧に描きつつ、自分にとって苦い思い出を赤裸々に独白することで、その中で力強く成長していく兄弟の姿を叙情的に表現している。

③作者が今でも覚えている苦い体験を、ユーモラスな擬音や、子どもの無邪気さを随所で強調することで、ほのかなおかしみとペーソスの漂う思い出としてまとめている。

④大したことはない幼少期の思い出を、あえてトラウマと大仰に表現することで、幼げのある微笑ましい体験を物々しく描き、そのギャップが面白いという滑稽話に仕上げている。

⑤言い訳がましい男の情けなさを、幼少期のトラウマを起点にして訥々と語りあげることで、失われた弟の信頼に思いをはせる作者の哀愁を情感豊かに伝えている。

⑥今となっては理解できない幼少期の自分や弟の言動を、客観的に補完しながらノスタルジーとともに回想することで、作者のほろ苦い思い出を共感を伴いながら追体験できるよう描いている。

 

 


 

 

みくのしんの解答

設問1
【1】ー4
【2】ー2
【3】ー2
【4】ー4
【5】ー1×

設問2
【6】ー3

設問3
【7】ー2

設問4
【8】ー2

設問5
【9】ー2

設問6
【10】ー3
【11】ー6

 

計 48/50点

 

先生からの一言

作者の気持ちがよく分かっていますね!

 

END