今夏、ハリウッドだけでなく世界中で大流行した筋萎縮性側索硬化症(ALS)を支援するためにスタートした「アイス・バケツ・チャレンジ」に続き、今度は睾丸がんへの認識を高めるための「フィーリング・ナッツ」というチャリティー・チャレンジが注目されています。ご存じのとおり、アイス・バケツ・チャレンジは、氷水を頭からかぶるか100ドルを寄付するかを選び、氷水をかぶる映像をSNSに投稿し、次の挑戦者3名を指名するというルールでしたが、「フィーリング・ナッツ」は睾丸を握った写真をSNSに掲載するというもの。

 ナッツ(Nuts)は、スラングで睾丸の意味があり、英訳すると「睾丸を感じよう」となり、女性の乳がんチェックと同様に男性も自分の睾丸を触って日頃からがんチェックを怠らないようにとのメッセージが込められているのだと言います。アイス・バケツ・チャレンジでは、「水の無駄遣い」「氷を買うお金を寄付するべき」「飲み水に困っている国だってたくさんあるのに」などなど、批判の声も多々ありましたが、これなら誰にも迷惑をかけず、何も無駄にせずにチャレンジできるとあり、ハリウッドではヒュー・ジャックマンがさっそく挑戦。トレーニングウェア姿のジャックマンは、ジムで仲間3人と一緒に右手で睾丸をガッチリ掴み、左手を空高く突き上げた写真をインスタグラムに投稿。「ママと恋に落ちるまで」などで知られる俳優ニール・パトリック・ハリス、コメディアンで俳優のリッキー・ジャーヴェイス、元NFL選手のマイケル・ストラハンの3人を指名。ジャーヴェイスはすぐさま挑戦を受けて立ち、右手は股間で左手の中指を立てた写真を掲載。そして、テレビシリーズ「スタートレック」のカーク船長役で知られるウィリアム・シャトナーを指名しました。シャトナーは、「自分の股間を握るには両手が必要だが、このチャレンジは両手でも余るほど重要なことだ」とコメントし、両手でガッチリと股間を握りしめる写真を掲載しました。

 自転車競技ツール・ド・フランスで知られる元自転車プロロードレーサーのランス・アームストロング選手は25歳だった96年に睾丸がんと診断されたことで知られており、20~40代の若い男性に多くみられる腫瘍と言われています。ジャックマン自身も、皮膚がんで2度の手術を受けた経緯もあり、フィーリング・ナッツへの挑戦とサポートを快く決めたのでしょう。

 アイスバケツ・チャレンジは、多額の支援金がALS協会に届いたと言われていますが、このフィーリング・ナッツは寄付は一切募っていません。ただ、自分の睾丸を触る写真を掲載することだけ。ALSがいつの間にか下火になってきた今、新たな支援としてフィーリング・ナッツがハリウッド、しいては世界中に広がりを見せるのか注目したいところです。

(このコラムの更新は毎週火曜日です)