はじめまして、ライターの神田です。
最近スーパーで買い物をしているとき思うのですが、
乳酸菌の食べ物多すぎませんか????
生きて腸まで届くやつとか腸で100倍多く生きてるやつとか程度に差はあれど、いくらなんでも多すぎません??
ちょっとお菓子売り場を回っただけでも乳酸菌入りを謳ったものがすぐに目に入ります。
とりあえず目に飛び込んだものを片っ端から購入してきました(それ以外は購入していません)。
どうでしょうか。チョコレート、ビスケット、グミ。
パッケージにデカデカと踊る「乳酸菌」の文字、文字、文字。
ちなみにこちらのお菓子たちの総乳酸菌量は1000億を超えます。1000億ってもうインフレが起きてませんか?
例えばこちら。
こちらのお菓子には3粒あたり乳酸菌が100億個含まれているようです。
こんなちっちゃいタブレットにミッチミチに乳酸菌が詰まっているんですね。
乳酸菌たちはどういう気持ちなんでしょう。
でも、そんな乳酸菌を10億だか100億だか食べたところで、「あ~、乳酸菌食ったわ~~」という実感は到底湧きません。
問題はここなんです。
もっと乳酸菌を食べた実感を得たい……!
菌そのものを目の当たりにしたい……!!
だったら…
デカくして食べましょう。
菌を食べるために
まずは身近な乳酸菌そのものを大きくして乳酸菌を食べたということにしようと思います。
簡単です。小さいものを大きくするだけです。
飲むヨーグルト 900ml
粉寒天 1箱
固めるための容器 いくつか
着色用食紅 好きな色
菌でおなかをパンパンにするために用意したものはこちら。
飲むヨーグルトを寒天で乳酸菌の形に固めることにします。
飲むヨーグルトを鍋に注ぎ、粉寒天を適量入れて火にかけます。
残念ながらこの時点で乳酸菌は死滅することが決定しました。
寒天は90℃以上にならないと溶けないので、熱に弱い乳酸菌は50℃くらいで死に始めます。
あ~~ 死んでる。今乳酸菌が死んでる、全部。
本当は40℃くらいが乳酸菌のいちばん発酵しやすい温度らしいのですが、完全に沸騰させたので全部死にました。
ですが、死んだからといって乳酸菌の効果がなくなってしまうわけではなく、しっかり乳酸菌としての役目を果たしてくれるそうです。
死んだ菌は腸内の免疫を高め、生きている菌は腸を元気にしてくれるらしいです。死んでも誰かの役に立つっていいですね。
容器に液体を注いで2時間ほど冷やし固めます。
待っているあいだはそれぞれ思い思いの時間を過ごしましょう。
私は実家に自分の安否を知らせる手紙を書きました。
たまには手紙を書いてみるのもいいものですね。
そんなこんなで、2時間経ちました。そろそろ乳酸菌寒天が固まったはずです。
このつややかで艶めかしいフォルム、きめ細かな白さ……!
乳酸菌自体の大きさはだいたい1マイクロメートル(1㎜の千分の一)程度なので、この寒天は約2万倍くらいの大きさです。
まさに乳酸菌の出来上がりです。
乳酸菌って言われたらそう見えなくもないですよね?でしょ?
それではさっそく……
味は寒天です。乳酸菌の味はしません。というかそもそも乳酸菌に味はあるのでしょうか?
食感はクニュクニュとして柔らかく、舌で押しつぶそうとするとつるりと滑ります。
味はどこまでも寒天です。もしかしたら本物の乳酸菌も無味無臭なのかもしれませんね。
ここでひらめきました。
寒天で形を作ればもっといろんな菌を作ることも可能なのではないか、と。
食中毒を引き起こすヤバい菌も実際に(形だけ)作れちゃうのでは??
O-157を作る
こちらは「O-157」。正式名称は腸管出血性大腸菌というらしいです。
O-157は食品に「ベロ毒素」というヤバい毒素を生み出す毒素型細菌。
その毒素のため激しい腹痛と下痢の症状が出て、重い場合には出血性の腸炎を起こす毒性の強い細菌です。
こちらが凶悪なO-157です。
ですが寒天で作ったこれは完璧な無毒。恐るるに足りません。
大腸菌の菌体の周囲にはうねうねとした鞭毛があるのが特徴です。鞭毛は春雨で表現してみました。
では食べてみましょう。
とことん無味です。だって寒天だから。
鞭毛の春雨がすごく邪魔です。もしO-157を食べることがあったら、先に鞭毛を取り除く必要がありますね。
黄色ブドウ球菌を作る
菌が集まり群体を形成しているのは「黄色ブドウ球菌」。
菌名のブドウはまさしく果物のぶどうに由来しており、菌が集まってぶどうの房のようになっていることから名づけられたそうです。
この菌は人体の皮膚に存在する常在菌でもあり、約20% – 30%の人がこの菌を保有しているといわれています。
澄ました美人のお肌にもブドウ球菌がひっそりといるというわけです。イヤですね。
黄色ブドウ球菌は培養したとき黄色いコロニー(細菌の集落)を形成するそうです。
皮膚の常在菌の中では毒性が高く、まれに感染症を引き起こす菌ですが、いざ目の前にしてみると何のことはありません。
黄色ブドウ球菌を食べます。
あまりにも味がしないので、ブドウ球菌にはオレンジジュースで味をつけてみました。
菌をおいしくいただくというヌーベルキュイジーヌの先駆けです。
おいしくない。変な酸味があります。そして鼻に抜ける生臭さ。
でも味がある分好感が持てます。作っておいて言うのもなんですが。
そもそも菌に味なんか期待するのが間違いなのかもしれませんね。
ウェルシュ菌を作る
次は食中毒を引き起こす菌の筆頭、「ウェルシュ菌」です。
先ほどのO-157と違い、ウェルシュ菌は感染型細菌。
O-157のような毒素型は、細菌が生み出す毒素が症状の原因となります。
しかし、ウェルシュ菌のような感染型は、食品の中でおびただしく増殖した菌そのものによって症状が引き起こされます。
出来上がったのがこちら。これにも味付けをしています。近くに昆布だしの素があったのでそれを入れました。
味はともかく、ウェルシュ菌ってたぶんこんなウネウネした感じなんだろうと思います。
では食べてみましょう。
ヌメヌメしててイヤですね。昆布がイヤな磯臭さを放ちます。
自分の中で菌って臭いイメージがあるので、案外これは菌の理想形なのではないでしょうか。
でも臭い菌をわざわざ作って食べる意味がわからなくなってきました。
インフルエンザウィルスを作る
こちらがみなさんご存じインフルエンザウィルスです。今流行ってますね。
感染力が強く、38℃以上の発熱、のどの痛み、全身倦怠感などの症状を引き起こすのが特徴です。
丸型のウィルスの周囲をもこもことした突起が覆っていますね。
Wikipediaによれば、これはスパイクタンパク質というもので、この突起で宿主細胞の表面に吸着するそうです。吸着してくるとは。
インフルエンザウィルスが出来上がりました。表面のスパイクタンパク質は綿棒で再現しました。
これがインフルエンザウィルスって言われたら納得しませんか?なぜなら誰も肉眼でインフルエンザウィルスを見たことがないのだから。
モグモグ食べます。
スパイクタンパク質(綿棒)も丸ごといきます。
スパイクタンパク質が邪魔ですね。
もしインフルエンザウイルスを食べるときは取り除いた方がいいです。吸着して本当にイヤなので。
以上5つが今回作った菌です。
初めてなのでうまくいかなかった部分もありますが、なんとかそれっぽいのが出来ました。
こうやって並べてみるとなかなかの菌らしさです。
結果は大成功!!!!!!!!!
よかった!!!!!!!!!!!!!
うまくいってよかった~~!
お菓子屋さんで買ったおいしいやつ食べよっと。
あ、でもその前に手を洗わなきゃ……
自分が菌に冒されちゃあ本末転倒ですからね。
ハンドソープを出してっと……
えっ????????
痛い痛い痛い!!!!!このハンドソープしみる!!!!!!!!
どういうこと????????
これってもしかして自分も菌の一部だったってこと???
えーー??? そんなのって…………
スッ
でん六豆、おいしいのでおすすめです。
(おわり)
【合わせて読みたい】