エントリーNo.6 永田
6人目は前回惜しくもリックェの前に敗れた永田。「ほぼ優勝」と言っても過言ではないパフォーマンスだっただけに、今回はリベンジが期待されます。悲願のリックェ越えを狙う永田の菓子盆はこちら!
●麦チョコ(セブンプレミアム)
●バーベキューポテト(セブンプレミアム)
●チーズ&キャラメルポップコーン(セブンプレミアム)
●ラングドシャクッキー(セブンプレミアム)
●ヒントミント
「今回のお題ですと、『どういう経緯で彼女を家に呼ぶのか』という前提のストーリーが、作盆する上で非常に重要だと思います。僕は『一緒にDVDを観るため』に決めたので、音が出にくく包装の少ないお菓子を選ぶのはまず当然の配慮です。さらにみなさんに問いたいのが、女の子が付き合いたての彼氏の前でボリボリとおかきなどの音モノ菓子を食べたいだろうか、ということです。もちろん『そんなの気にしてたらキリねえよ』という意見の男性もいるでしょう。だからこそ僕は盆の上にその人の恋愛観が全て出てしまうのだと思います。僕のは完全に純愛盆です。純愛ですので、もちろん家に呼んだくらいでいきなり手を出すような真似はしませんが、全く下心が見えないのも逆に女性を不安にさせてしまうもの……」
「そこで登場するのがヒントミントです。チョコなどの口に残りやすいお菓子を食べた女性はどう思うでしょうか? 『今、キスすることになったらどうしよう?』です。前述の通りまだ何もするつもりはありませんが、彼女の不安を解消し、他の菓子にも手を出しやすくさせる効果がヒントミントにはあります。そしてこちらの思惑を彼女側も敏感に感じ取るでしょう。つまり、ヒントミントが盆にあるだけで「ひょっとして今日あるのかな…?」の心地よいドキドキが僕らを優しく包み込んでくれるのです。これが付き合いたての彼女とお家デートする時の正しい距離感ではないでしょうか?」
~ 会場の反応 ~
「ヒントミントをパッケージごと置くとは!」
「盆の上に、涼やかな風が吹いているのを感じる」
「ミンティアだったら途端に童貞力が増すところを、ヒントミントというのがやはり巧者だね」
まず目を奪われたのはミントタブレットの存在感です。はじめは力士の中にロボコップが混じっているような違和感に戸惑いましたが、奇をてらっているわけではありません。お菓子を食べた口をスッキリとリセットしてくれるミントは、まさに恋人とのひとときにぴったり。「恋人と映画を見るなら音の出ない菓子を」という提言にはハッとさせられました。他のお菓子もベタから微妙に外しつつ、定番の範疇に収まる絶妙なチョイスです。「あざとさ」と紙一重の領域を鮮やかに走り抜けた菓子盆。心憎いの一言ですね。
こちらも高評価が飛び出しました! やはり菓子盆王の座は永田とリックェの一騎打ちになるのでしょうか?
エントリーNo.7 原宿
最後はオモコロ編集長の原宿。前回は現代アートじみた菓子盆が審査員の怒りに触れ、菓子盆協会からの「破門」を言い渡されました。今回は一体どんな菓子盆で挑むのでしょうか?
「前回は残念ながら理解を得られませんでしたが、後悔はありません。僕が問いたいのは机の上から評論だけしてる連中に、人の心を打つような全く新しい菓子盆が創造できるのか?ってことなんです。世間の評価がどうであろうと、『菓子盆は本来自由なもの』であるという僕の理想は決して折れることはありません。男性から女性に向けた菓子盆も、そのような決して折れない、たくましいエネルギーの屹立を感じさせるべきでしょう。タイトルは『槐(えんじゅ)』です」
●ねり飴(土台)(昭和食品)
●酢漬けイカ(よっちゃん食品)
●ひもQ(明治)
~ 会場の反応 ~
「もうこいつは呼ばない方がいいと思う」
「お菓子で遊んでるだけの小者」
「イカとひもQって、考え得る限り最悪の組み合わせだろ」
菓子盆界に新風を吹きこもうとする意気込みとは裏腹に、やはり会場からはブーイングの嵐です。果たして「評論家は何も生まない」と挑発されたダ・ヴィンチ・恐山は、この菓子盆をどういう言葉でもって迎えるのでしょうか!
破門です。
再度の破門でした。
優勝者決定!
これで第二回菓子盆選手権、「付き合いたての女子を初めて家に呼んだ時の菓子盆」がすべて出揃いました。
果たしてモテお菓子王の栄冠は誰の頭上に輝いたのか?
審査員のダ・ヴィンチ・恐山から、優勝者を発表いたします!
今回の菓子盆選手権の優勝者は……
永田さんです!!
リックェ盆とのデッドヒートの末、優勝は永田に決定! 果たして勝負の決め手はなんだったんでしょうか?
「盆上には魔物が潜んでいる」
下手をすると作り手のエゴがあらわになる菓子盆の恐ろしさを再認識した第2回大会でした。やはり今回も永田さんとリックェさんが高い水準で火花を散らしていましたね。永田さんは第1回目にして「キッチンペーパーを敷く」というブレイクスルーを起こし、第2回では「ミントタブレット」というアフターケアにまで領域を広げています。知と智に長けた彼が見据えているのは、盆上よりももっと広い世界なのかもしれません。菓子盆の可能性を拡張する、という点において、永田さんの菓子盆は非常に挑戦的であり意義あるものだと感じました。
よって今回は、永田さんの菓子盆を優勝といたします。
お互いの健闘を讃え合う初代王者と二代目王者。これからの菓子盆界は、奇しくもボーダー柄がかぶったこの二人が引っ張っていくことでしょう。
終了後、「菓子盆って、くるのよ」と言いながら体をほぐすチャンピオン。今回の菓子盆選手権が、どれだけの激闘だったかが窺えますね。そんなにはきてないと思うけど。
すべてが終わった後は、どっさり残されたお菓子で大宴会できるのも、菓子盆選手権の魅力のひとつです。もちろんチャンピオンは好きなお菓子を貪り尽くすことができます。皆さんもホームパーティの企画の一つとして、お気軽に菓子盆選手権をお楽しみください。
オモコロこと全日本菓子盆協会では、今後もこの菓子盆の可能性を追求し、最終的にはエベレスト頂上での菓子盆選手権開催を目指して取り組んで参りますので、第三回もよろしくお願いいたします。多分袋系のお菓子は気圧とかで膨らんじゃって、エベレストの上まで持っていけない気がする。
次回は「女流菓子盆戦」、「デキるママが家に遊びにきた息子の友達に出す菓子盆」などを企画中です。それではまた、第三回の菓子盆選手権でお会いしましょう!
(おしまい)