ねずみ花火に挑戦
河原に移動して、右手にチャッカマン、左手にねずみ花火を持ちます。もう最悪ですね、この時点で。沢田研二で言うところの「右手にチャッカマン、左手にねずみ花火、唇に火の酒、背中に『まさき』という謎の落書きを アアア アアア」です。
マジでねずみ花火なんて、中学の頃にヤンキーが校庭でやりまくって、緊急に全校集会が開かれて「学校でねずみ花火をやってはいけません!」というお触れが出て、翌日にヤンキーが校庭で打ち上げ花火をやる、という一休さんのお蔵入りになった回みたいな事があった印象しか無いので一生手に取る事は無いと思ってました。しかしもちろん後には引けません。
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チャッカマンの調子が悪すぎて「ライターでは絶対に点けないで下さい」という注意書きがあるのにライターで点けざるを得なくなりました。最悪・・・ 落ち着け落ち着け・・・
点いた!!!急いで投げます!!!
ポイッ
パァン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
学生時代、陸上部で培った脚力でカメラも追えない速度でウソみたいに遠くまで逃げてしまいました。怖すぎるだろ・・・
しかし、ねずみ花火に火を点けれた事には変わりありません。
これはもう火を克服したと言っていいはずです!!!!!!!
やった~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!これで俺ももう一人前!!!!!!!!!大人の仲間入り!!!!!!!!!!!帰ろ帰ろ!!!!!!!帰ってストⅡやろ!!!!!!!!!!
お疲れ様でした!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
永田「はい」
シャラップ「ん?」
???「起きて、ほら、ねえ」
シャラップ「ん・・・?」
???「あ、起きた」
シャラップ「ここは・・・?」
???「病院よ。あなた大変だったのよもう。大道芸人しか使わない燃える帽子被って、それで気を失ってたから私が介抱してあげたのよ。感謝しなさい」
シャラップ「あ、ありがとうございます・・・。あなたは・・・?」
???「私?私の名前はファイヤーセックス子よ。火とセックスの間に産まれた子供なの。気軽にファイセクって呼んでね」
シャラップ「ファイセクさん・・・」
ファイセク「さんなんて付けなくて良いわよ」
シャラップ「あ、ファ、ファイセク・・・は、さあ・・・」
ファイセク「なに?」
シャラップ「何で見ず知らずの俺なんか助けてくれたの・・・?」
ファイセク「私には産まれ持った使命があるの」
シャラップ「使命・・・?」
ファイセク「さっきも言ったように、私は火とセックスの間に産まれたの。だけど、火とセックスは離婚して、私はセックスに引き取られたの。あなた、一番したくない事はなに?」
シャラップ「うーん・・・ でも、今パッと思いつくのは、火を点ける事、かな・・・」
ファイセク「そうよね。じゃあ、一番したい事はなに?」
シャラップ「したい事・・・」
ファイセク「そう、一番したい事」
シャラップ「・・・ 例えば、みんなが幸せにな」
ファイセク「カッコつけないで」
シャラップ「・・・」
ファイセク「一番したい事は?」
シャラップ「・・・ セックスです」
ファイセク「そうよね。一番したくない事が火を点ける事、一番したい事がセックス。私は、そういう人の前にしか現れないの」
シャラップ「そうなんだ・・・」
ファイセク「そして私には魔法が使えるの」
シャラップ「魔法・・・?」
ファイセク「そう、魔法。私は、そういう人が火を点けた回数だけ、その人の人生のセックスの回数を増やすことが出来るの」
シャラップ「セックスの回数・・・」
ファイセク「『人生の良い事と悪い事の総量は結局同じ』みたいな話聞かない?あれ、私みたいなのがこうやってバランスを取っているの」
シャラップ「そうなんだ・・・」
ファイセク「あなたは今日、ZIPPO、マッチ、ねずみ花火の3回火を点けたわね。まあ、帽子も含めて4回で良いわ。だから、あなたの人生のセックス出来る回数に+4しといてあげる」
シャラップ「え、人間そもそもセックスの回数って決まってるの・・・?」
ファイセク「当たり前じゃない。オギャーオギャーって言ってる段階で童貞じゃない事が決定してる人もいるのよ」
シャラップ「・・・」
ファイセク「あなた、自分の人生で、あと何回セックス出来ると思う?さっきの+4は考えずにね」
シャラップ「いや、でもまだ23歳だし・・・ 回数でしょ?うーん、なんか、30代になったらモテ期来るのかなってなんとなく思ってるんだよね。だから、その時に知り合った人とかと意外と上手い事行ったりするのかなーとか、あとその時になったら俺の性格も変わってるかもしれないし、だから意外と・・・」
ファイセク「0よ」
シャラップ「え?」
ファイセク「0なの、あなたが人生で出来る残されたセックス回数」
シャラップ「いや、さすがにそんな事無いでしょ。未来の俺は今の俺とはもしかしたら変わってるかも・・・」
ファイセク「ほら、そうやって『変わってるかもしれない』って。自分の話じゃない。何で自分の手で変えようとしないの」
シャラップ「・・・」
ファイセク「そうやって人とか時間とか、自分以外のものに頼ってる人間は一生何も変わらないわ。だから、あなたは結局変わらない。だから、0なのよ」
シャラップ「・・・」
ファイセク「でも、女の人に対しては一生そうかもしれないけど、火に対しては自分の意思で変えれたでしょ?23年間一切火を点けてこなかったあなたが、1日で4回も点けたのよ」
シャラップ「確かに・・・」
ファイセク「そんな人が火を点けた回数だけ、人生のセックスの回数を増やすのが、火とセックスの間に産まれた私、ファイヤーセックス子の使命なの。だから、あなたは人生であと4回だけセックス出来るわ。人生で、だからね。ちゃんと考えてセックスしなさいよ。じゃ、私の使命は済んだから帰るわね」
シャラップ「ちょ、ちょっと待って!!」
ファイセク「なに?」
シャラップ「その4回のうちの1回・・・ 今使ってもいいかな?」
みたいな事がない限り、絶対に二度と火は点けません。
(おわり)