私は食いしん坊だ。
どれぐらい食いしん坊かというと、北海道物産展を見ると1万円使ってしまうような食いしん坊だ。

そんな私が今一番ハマってるお菓子が…

 

 

ふんわり名人!!!

 

ジャンルでいうと『おかき』に分類される米菓なのだが、初めてふんわり名人(きな粉味)を食べた時の衝撃は未だ忘れられない。

 

ふんわりという言葉では表現しきれない食感。きな粉の絶妙な甘さと塩加減。

少し楕円形で可愛らしい見た目。

 

軽く握っただけで…

 

粉になってしまう繊細なボディー…。私は一口食べた瞬間から、ふんわり名人の虜になってしまった。

そんな大好きなふんわり名人だったが、自粛期間中はふんわり名人を取り扱っている店に立ち寄れずふんわりロスに陥ってしまった。

そこで初めて『ふんわり名人』をインターネットで検索したのだが、そこには食いしん坊には耐えられない情報が待っていた。

 

いちご大福味の存在である。

それは私が食べたことない味だった…。そして何より、期間限定フレーバーの為現在販売していなかったのだ。

 

ということで、私は無謀にもふんわり名人を手作りすることに決めた。ついでにオリジナルふんわり名人も沢山作ってパーティーしちゃおー!!

 

全部勘でやってみる

 

ふんわり名人を手作りするにあたり、主観的にならないよう第三者に出来た物がふんわり名人か否かジャッジしてもらう必要があると考え、超近所に住む後輩に連絡を取った。

 

移動時間や支度等も考えると21時がタイムリミットとなるので、それまでに完成した物を後輩に出す事にした。

 

時間に限りがあるので早速作っていこうと思う。まず初めに、ふんわり名人シリーズのパッケージに必ず書かれていると言っていいのがこれ

 

国産もち米100%。

この事から、ふんわり名人はお餅から出来ていると確信した私は全自動餅つき機を買った。

 

これ1つで、もち米がお餅になっちゃうらしい。

 

完璧なお餅をつくため、真剣に説明書を読む。

・もち米を洗う際はお湯を使わず、水に浸さないよう5分以内に素早く洗う。(餅が柔らかくなり過ぎない為)

・洗ったもち米は15分水切りする。

・米1合(140g)に対して、水を110ml入れてセットする。

説明書より

どうやらお餅には水加減がかなり重要らしいが、私はプリンの空き容器を計量カップとして使っている為、シビアに計れなかった。

できるだけ頑張って計量し、もち米をセットする。

 

1時間程でお餅が完成するらしい。

 

その間にいちご大福味の粉を作る事にした。

 

いちご大福に必要な味、その1つがアンコだ。しかしふんわり名人に纏わせるには粉末である必要がある為、お馴染みのアンコは使えない。今回は『お湯を注ぐおしるこ』を粉にしようと思う。

 

思いの外硬かったが、一心不乱に突く事で事なきを得た。

 

おしるこの素が粉になったら『ストロベリーパウダー』をお好みで入れる。このままだと甘さに自信が無かった為、粉砂糖も入れた。

 

完成☆

少し舐めてみたが、特別美味しくもなければ、いちご大福という感じでもなく「ふーん」という感じの味だった。たぶん、化学調味料だけを舐めても美味しくないのと一緒で、ふんわり名人の本体に纏わり付いたとき劇的に美味しくなるに違いない。

 

他に用意したフレーバーはお雑煮味

乾燥したネギ・人参・切り干し大根と顆粒ダシをすり潰す。

 

(切り干し大根はすり潰せなかったので煮物にした)

他にも、チョコバナナ味・ミルクティー味・シナモンシュガー味という市販の粉を用意しながらお餅ができるのを待つ。

 

しばらくすると餅つき機から「ピー」と音が鳴ったのでフタを開ける。

 

そこには白く滑らかな美しいお餅の姿があった。

 

思えば、つきたてのお餅を見るのは幼稚園の餅つき大会ぶりなのでテンションが上がる。

急いで少量のお餅を椀に入れてバターと醤油で食べたところ、生き物に噛み付いたときと同じぐらいの弾力があり、鼻孔を米の香りが駆け抜け優しい甘さが口いっぱいに広がった。

 

さて、これからふんわり名人肝心要の本体作りをするのだが、一体どうやって作るのだろうか…思い付く限りの調理方法を試していくしかない。とりあえず焼いてみる事にした。

 

〜数分後〜

ある程度膨らんだが、これ以上膨らみそうも無かったので食べてみる。

 

普通に焼き餅だった…

ふんわり名人が出来なかった…。悔しさに耐えながら残りの焼き餅に刻み海苔と醤油をかけて食べる。

 

うまーーーーーーい!!!!!!

抜群の弾力に加え、焼いた餅の香ばしさに海苔の香りと醤油の塩味が抜群に合って美味い!!!最高ーーーー!!!!!

 

気持ちを切り替えて、次の調理法を試す。焼くのがダメとなると、続いて試してみるのは「揚げる」だ。

 

〜数分後〜

かなりふんわり名人っぽい!!!!!しっかり揚がったところで、1つ食べてみる。

 

普通に揚げ餅だった…

かなり近いものを感じたが、噛むと膨らんだ部分がぺしゃんこに潰れてしまった。これではふんわり名人とは呼べない。

私は続けて失敗した事に憤りを感じながら残りの揚げ餅にバターとあんこをかけた。

 

失敗した私にカロリーの罰が下される。

 

ぐわぁぁぁあ!!!!

表面サクサク、中モチモチのお餅に、とろりと甘いあんことバターの優しい塩気が癖になる…!なんて罪深い味なんだ!!!

 

十分に罰を受けた私は、続いて文明の利器を使った調理方法『レンジでチン』を試す。正直これもダメだったらもう有効な手が思い付かない。頼む!行ってくれ…!!

クッキングペーパーにお餅を並べ、テーブルに置く。

 

タイマーを2分半にして、スイッチを押すと…

 

おおおおおお!?!?

 

加熱時間が足りずに真ん中が不発となっているが、かなりそれっぽくなった!

一口食べてみる…

 

ぺしゃんこにならず、形を保っている!!

しかし、食感もザクザクとしていて少し硬めのおかきといった感じだったので、ふんわり名人と呼ぶことができない。

私はお餅を『やわらかめ』の設定でもう一度作り直し、再チャレンジする事にした。

 

(2回目回し中)

時間は既に20時を超えていた為、これがラストチャンスとなる。

お雑煮味に使う餅には下味に白だしを加え、それ以外の餅には砂糖を混ぜて、全てレンチン加工した。

 

完成〜☆

 

試しに1つ味見をしてみる。

いっただっきまーーーす!!

 

食べた瞬間「骨?」と呟いてしまう程、信じられないぐらい硬かった。

ちなみに

 

指先が白くなるまで握っても

 

びくともしない。

私はこれを『ガチガチ名人』と名付けた。

 

大失敗しても時は残酷。かなり不本意だが、時間が無い為これを後輩に振る舞うしかない。急いで味付け作業に取り組む必要がある。

まず、粉を付ける為ガチガチ名人を軽くぬるま湯にくぐらせた。

 

実際のお餅も、きな粉を付ける際にそうするからだ。

そして粉を付けたのがこちら。

 

(いちご大福味他4種類のガチガチ名人)

 

早速後輩の家に持っていこう!!!

完成したガチガチ名人を持て行く道中「噛み切れなかったガチガチ名人が後輩の喉に詰まって窒息しちゃったらどうしよう…」や「後輩の歯が折れちゃったらどうしよう…」等、良くない妄想が何度も頭をよぎった。

 

ふんわり名人当てゲーム

部屋のチャイムを鳴らすと、後輩が出迎えてくれた。

後輩

私の1つ年下で、高校からの後輩。若い頃は年の半分を一緒に遊んで過ごした。

急に「手作りお菓子を味見してくれ」と言われた。

まだ後輩には秘密にしているが、彼女には先程のガチガチ名人に3種類のふんわり名人を加え、どれが本物のふんわり名人か当ててもらうゲームをしてもらう。

 

(後輩は全て私の手作りだと思っている)

ゲームにした方が、実物との違いを忖度無く伝えてくれると思ったからだ。

正直成立するか不安だが、実は私の顎が人より弱く、ガチガチ名人をよりガチガチに感じている可能性も否定できないのでやってみる価値はある。

 

今回の試食会なんだけど、もし食べて危険を感じたときは無理して噛んだり飲み込んだりしないでね。

 

私がそう言うと後輩の顔が強張ってしまった。緊張を解くため、まず初めにふんわり名人の王道、きな粉味を食べるように仕向ける必要がある。

まずは真ん中のやつを食べて

恐る恐る食べる後輩。

 

(ゲームは玄関先で行われた)

あれ…!?美味しいです!!

 

それはトゥルースふんわり名人なので美味しいのは当たり前だ。狙い通り警戒心を解いたところで、早速私は一番食べて欲しいいちご大福味を食べてもらう事にした。

次はその小豆色のやつ行こうか

 

勧められるがまま口に運ぶ後輩。少し咀嚼したところで…

 

めっちゃこっち見てきた。

後輩はもう噛むことを止め、飲み込もうともしていない。危険を感じている証拠だ。

私は急いで事前に用意していたお茶を差し出した。

 

(餓鬼のごとくお茶を空ける後輩)

なんスかこれ…噛んだら中からドロっと嫌な液体が流れてきたんですけど…味もなんか変だし…

 

水だ…!粉を付ける前にぬるま湯にくぐらせたのが悪かったんだ!

ちなみに私は味付け後のガチガチ名人の味見を一切していない。時間が無かったのもあるが、ガチガチ名人を前に全然食欲が沸かなかった為だ。

ごめんネ…。変なもの食べさせて…

いえいえ…!さっきのきな粉のはめっちゃ美味しかったですよ!!

あぁ…あれ、市販のお菓子なんだ

は?

さっきのきな粉のお菓子を真似して、売ってない味を自力で作ったんだ。だから後輩には食べたやつが市販のお菓子か私が作ったやつか当てて欲しいんだよね。

え…じゃあ…はい。わかりました。

ようやくルールを知らされた後輩。続いてシナモンシュガー味(ガチガチ名人)を食べた。

硬…!!でもいちご大福よりはまだマシですね…先輩のやつだ…。

 

瞬間でバレた。

 

こんな感じに後輩は次々と見破っていき、最後の方は食べる前に臭いを確認してから口に入れていた。

(私への信用を無くし、嗅覚を駆使する後輩。)

ただ、本物のふんわり名人を食べた時はあまりの美味しさに大笑いするのであった。

 

(たまに当たるふんわり名人が美味しすぎて爆笑する後輩)

皮肉にも私はこの時、人生で一番ふんわり名人に感謝していた。ふんわり名人が無かったら、私達の関係は終わっていた事だろう。

ちなみに後輩の感想をまとめるとこうなった。

 

1位 桜えび S☆
お餅と桜えびの風味が優しくフワッと広がる!

2位 きなこ S
甘いだけじゃなく、ほんのりしょっぱいハーモニー。

3位 チーズ A
美味しい!!

4位 お雑煮 B +
味は美味しいけど、ふんわりさが無い

5位 チョコバナナ B
チョコが美味しい

6位 ミルクティー C +
粉末量が多い。

7位 シナモンシュガー C
味はともかく1番頑丈で噛みごたえがあった

8位 いちご大福 E

噛んだ瞬間から気持ち悪くなった

1位〜3位はふんわり名人が独占。

意外にもお雑煮味が好評で、聞くところによるとそこまで硬くなくお煎餅のような食感だったらしい。(下味が違うから…?)

そして最下位が今回のメイン目標としていたいちご大福味だった。

 

全問正解した後輩には、賞品としてその時入手できるふんわり名人全味の小袋を渡し、大切な事を伝えた。

 

最後にこのお菓子の商品名を教えてあげるね

何スか!?自分も気になってました!!

これ、ふんわり名人っていうんだよ

 

その途端…後輩は今日1番笑ったので、私は恥ずかしくなってお礼もそこそこに逃げるように帰った。

 

(恥ずかしさのあまり虎になる私。実際はなっていないし、走ってすらいない。)

 

私は何をやっているんだろう。帰宅し、大量のガチガチ名人を噛りながら自己嫌悪に陥った。

つきたての美味しいお餅をガチガチにして、後輩に食べさせて、笑われて…。悔しい!

このままじゃ終われないよ…!!

 

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