まきのゆうき、4コマ引退記念インタビュー

 

―オモコロ開設から12年間の連載、おつかれさまでした!

ま「いま35歳なので、人生の3分の1の期間、うさねこを描いていたことになりますね。そう考えると長い付き合いでした」

 

―初期のうさねこは今と結構違いましたよね。

ま「もともと大学時代にルーズリーフに手書きで描いていたのが始まりなので、基本はモノクロでしたね。あとは等身がかなり高かったです」

 

 

※まきののハードディスクから発掘された初期のうさねこ。

 

―なんか細長い!いまのようなもちもちとした外見になったのは何故なんですか?

ま「後期のうさ男のフォルムは、“すあま”の影響が大きいですね」

 

 

※すあま

 

―すあま?

ま「私は大阪出身なんですが、関西にはすあまってほとんど売ってないんです。でも上京して和菓子屋さんで初めてすあまと出会って、その外見、その優しい味に衝撃を受けました。同じ時期から、うさ男のフォルムがもちっとなってきたと思います」

 

―なるほど。人間、思わぬことから影響を受けるものですね。ちなみにすあまは今もよく食べるんですか?

ま「いえ、まったく食べません」

 

―そうですか……。影響と言えば、うさねこには「グロい描写」が多いというイメージがあるのですが。

 

 

※すぐにむごたらしく死んでしまう、うさねこたち

 

 

―こういった描写は何かの影響を受けているんでしょうか?

ま「私自身ホラー映画が大好きなので、やはりホラーが描きたいという気持ちがうさねこに現れているかと思います。うさねこ達は死んでもすぐに蘇りますし、ホラーとギャグは紙一重でもあると思っているので、色んな死に方を漫画の中で試せるのはよかったですね。だから12年も続けることができたのかもしれません」

 

―特に影響を受けたホラー映画はあるんでしょうか?

ま「創意工夫を凝らした死に方という意味では、『SAW』シリーズが大好きですね。好きすぎて、自分でNAVERまとめを作ったぐらい好きです。関節を一つ一つ逆に回転させる殺し方とか、死に対する情熱がないと思いつきませんからね。あとは『スキャナーズ』の頭部ボッカンシーンも脳裏に焼き付いています」

 

 

※グロ注意。ホラー史上に残る「スキャナーズ」の頭部爆発シーン。

 

―このシーンは最高ですよね。やっぱりグロい絵を描いてる時も「最高!」と思いながら描いてるのでしょうか?

ま「ストレス解消も兼ねているので、スッキリはしていますね。特に血がどばっと出る所を描くのが好きで、体に近い部分ほど色を赤黒くして、グラデーションをかけて血液を塗る作業をしている時はすごく落ち着きます」

 

―なんか猟奇的な話になってきたので、次の話題にいきましょう。4コマを描く時って、まず何から手をつけるんですか?

ま「私の場合、展開やオチを考えずにまず1コマ目を描いてみることが多いですね。例えば『空を飛んでるうさ男』を何となく描いて、そこから『ここに鳥が飛んでくるかもな』とか、『飛んでるように見せて、実は飛んでないかもな』と2コマ目以降を考えていく感じです」

 

―3コマ目ができるまで、オチは自分でも分からないということですか?

ま「はい。一寸先は闇の中を進んでいきます。まぁ最高にうまくいく時は、1コマ目の時点で4コマ目までの絵がスパンと見えて、3分ぐらいで描けちゃうんですけどね。でも3コマ目まで描いても何も見えない時もあって、そうなるとこういう逃げの漫画になります」

 

 

 

―本当に逃げだった。

ま「申し訳ございません。まぁ12年間毎週やってたらこういうことも、たまには……ね……」

 

―長い年月ですもんね。その中に「今日は描きたくねー!」という日もあったのでは?

ま「うーん、いつの間にか歯磨きやお風呂のようなレベルで、うさねこを描くことが習慣化していたので、描くこと自体がイヤになるという日は無かったですね。習慣は力ですね」

 

 

※うさねこに出てくるキャラクターのプロフィール。いぬやひつじもいたんです。

 

 

―それだけ習慣化していたうさねこの連載、なぜ今になって終了を決断したんでしょうか?

ま「今年の始めに、やはりオモコロ開設からずっと4コマ連載を続けていた山口むつおが連載を終了したんですが…」

 

 

↑こちらの記事参照

 

 

―あ!やはり盟友が連載を終えたことがきっかけに?

ま「いえ、その時は『これでオールドタイプは自分一人になったから、永遠に描き続けなきゃいけないな』という気がしていたんです。でも面白い漫画を描ける新人がどんどんオモコロに加入する中で、自分が居座り続ける意味って果たしてあるのかな?と」

 

―オモコロというメディア全体を見た時に、世代交代の必要を感じたということでしょうか?

ま「そこまでちゃんとした理由でもないんですが、このままやっていたら『ジジイがいつまでも、うさぎとねこの漫画描いてんじゃねーよ』と思われるのが怖かったという気持ちです」

 

―確かによくよく考えるとヤバイですね。

ま「思ってたのかよ」

 

―12年間に渡るうさねこの連載で、いちばん印象に残ってることはありますか?

ま「そうですねえ。初代オモコロ編集長シモダテツヤの家に、デイリーポータルZの林雄司さんを招いてお話してる時に、当時シモダ家のリビングにはガラス製のローテーブルが置いてあったんですが」

 

ローテーブル ガラステーブル 幅110cm 強化ガラス天板 ブリリアントカット テーブル ブラックウォルナット

※こんなん

 

 

―はい。

ま「私がたまたまその上に腰をかけた瞬間、なぜかテーブルが中心からバリーン!って砕けて、ガラスの破片が部屋中に飛び散ってみんなで呆然となりました。そのときのシモダの顔が忘れられません」

 

―うさねこと何も関係ないのでは?

ま「すいません、そうでした」

 

 

※こちらはストレートパーマをかけていた頃のまきのゆうき。「金もかかる、時間もかかる、髪も痛むので良いことはありません」

 

 

―うさねこファンの方には、「もううさねこ読めなくなっちゃうの!?」と思ってる方もいると思うんですが、どうなんでしょうか?

ま「オモコロでの4コマ連載は終わりますが、個人のTwitterではたまーに何らか描いたりしようかなと思っています。さよならだけど、さよならじゃない。そんなやまだかつてないwinkみたいな気持ちでうさねこを見守ってください」

 

―古っ。今後、新しいことに挑戦しようという予定はあるんですか?

ま「書を学びたいと思っています」

 

―書?

ま「書道です。本当に達筆になりたいので、書道教室に通いたいという気持ちが強いです。最終的には大河ドラマの題字を書けるぐらいの達筆になりたいんですよね」

 

―ぜひオモコロの武田双雲を目指してください! 最後に、これまで読んでいただいた読者の方にメッセージをお願いします!

 

 

 

 

―ありがとうございました!

 

 

 

※まきのゆうきさん、長い間4コマ連載お疲れ様でした! 今後は姉妹サイト、ヌートンでのお食い初め記事にもご注目ください!

 

 

 

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(おしまい)