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こんにちは、ジモコロ編集長の柿次郎です。

 

最近、テレビ番組にどハマりした経験ってありますか? スマホが現代人の時間の使い方を大きく変えたのは間違いないんですが、なんだかんだで面白いテレビ番組はいっぱいあるんですよね。

 

30歳を過ぎたあたりから興味を持ち始めたのがNHKのドキュメンタリー番組。中でも『ドキュメント72時間』『NHKスペシャル』は何が起こるかわからない展開がたまりません。密着取材ならではのハラハラ感…! NHKにだけ見せる一般人のリアルな顔…!

 

インターネットで何でも知った気になれる時代だからこそ、ノンフィクション取材で切り取った「人間の面白み」や「未知の文化」を覗き見る価値はあるなーと。取材対象の深い部分に入れば入るほどに好奇心を刺激されます。

その密着取材の究極系が…

 

『NHKスペシャル 大アマゾン 最後の秘境シリーズ』です!

 

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・第1集「伝説の怪魚と謎の大遡上」

 

・第2集「ガリンペイロ 黄金を求める男たち」

 

・第3集「緑の魔境に幻の巨大ザルを追う」

 

・第4集「最後のイゾラド 森の果て 未知の人々」

 

 

昨年から「NHKみたいな取材力を持った媒体にしたい!」とあちこちで話してたこともあって、今回はNHKスペシャル『大アマゾン 最後の秘境シリーズ』の魅力をただただ語りたいと思います。このNHKの取材力は異常…!!

 

 同僚のギャラクシーに魅力を伝えてみた

f:id:eaidem:20160721180126p:plain「ギャラクシーさん、大アマゾン最後の秘境シリーズ観てますか?」

f:id:eaidem:20160721180135p:plain「え、観てないです。何ですかソレ」

f:id:eaidem:20160721180126p:plain「えー!ライター編集者を名乗っていて観てないんですか!? 好奇心をエネルギーに変える僕たちの生業で、こんなにも深い取材をしているドキュメンタリー番組を観てないだなんてありえない。ジャンプでHUNTER×HUNTER読まないようなもんですよ。ファミ通でクロスレビューを読み飛ばすようなもんですよ! あと、なんで同じような帽子かぶってるんですか!!」

f:id:eaidem:20160721180135p:plain「そんなに責め立てられるほどの罪を犯してるんですか」

f:id:eaidem:20160721180126p:plain「僕が裁判官なら懲役18年ですね」

f:id:eaidem:20160721180135p:plain「重っ!!」

f:id:eaidem:20160721180126p:plain「過去3回は放送済みなんですが、NHKオンデマンドでも観れるのでざっくり紹介します」

 

第1集「伝説の怪魚と謎の大遡上」

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僕は小学生の頃に熱帯魚を飼い始めて、阪神大震災で水槽がぶっ飛んだ経験を持つんですが…。それ以来、熱帯魚に対する憧れがくすぶったままなんです。「いつかアマゾン川で本場の熱帯魚を見てみたい。特にコリドラス(小さなナマズみたいな魚)!」という夢を抱いていて、その欲求が少し満たされた自分得な内容でした。

 

 

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川を逆流(遡上)する魚の生命力。乾季の川に取り残されて、口をパクパクと開けて息絶えていく魚の群れ。巨大魚ピラルクーを追い求める原始的な人間の姿。アマゾン川を舞台にありとあらゆる生き物が本能的に暴れまわる姿を見て、「これぞ生命力!」と膝を打ちました。あと4Kカメラのおかげでとにかく映像が綺麗です。家電量販店の最新テレビでボーッと眺めたくなるやつ。ドキュメンタリーと高画質の相性が良すぎます。

 

 

第2集「ガリンペイロ 黄金を求める男たち」

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続いてネット上でも話題になった黄金を求める荒くれ者「ガリンペイロ」の回! いやー、アマゾンの奥地では一攫千金を狙った男たちがいまだに存在しているんです。NHK取材班が危険すぎる集団に50日間(!)も密着。精神と時の部屋で過ごすよりツラそう。

 

 

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観ていて一番危険を感じたのは、腹に大きな傷を持つ男「ブッシュ」。「お前ら日本人か? 人を殺したことはあるか? 俺はあるぜ」と大きなナタを持ちながら近づいてくるシーンがヤバすぎます。

「俺の生きる目的は、親父を殺した男を見つけて復讐することだ…」って漫画みたいなことをキマった顔つきで言ってくるわけです。なんなんだよ、もう。野蛮すぎるだろ。左腕曲がりすぎじゃない? 肘から武器が飛び出るタイプ? どうしたのよもう!!

 

しかも、彼らが必死に働いて採れる黄金の量はごくわずか。日銭感覚で採った黄金で毎日ビールを飲んで暮らすガリンペイロの生き方は、環境や目的が違えど昭和ドヤ街のオジさんと大差がないのかもしれません。感情移入するとまたおもしろいです。

 

 

■第3集「緑の魔境に幻の巨大ザルを追う」

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アマゾンの猿は特異な進化を遂げている。森林の中を身軽に動きまわる必要があるため、子猫ぐらいのサイズがほとんどで。1m以上の猿を南米で発見した事例は歴史上ゼロにも関わらず、「人間ぐらいの巨大猿を見たことがある」という噂話が後を絶たないそうです。

 

そこに目をつけたNHK取材班は巨大猿を求めて未開の地へ。100年前に捕獲された推定157cmの猿「通称=モノス」の真偽を引き合いに出しながら、構想3年、取材期間2年、撮影データ11テラバイトに及んだ取材の軌跡を追うことができます。これだけ「待ち」に特化したドキュメンタリーってだけで僕はゾクゾクするんですが、待ち続けた故の貴重なシーンが見事です。人間が持つ忍耐力の限界を超えてるというか。

 

 

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「進化の過程でそんな顔になる必要があるの?」っていう珍しい猿の姿や塩分(=ミネラル)補給するために泥を食べる動物たちの姿など、幼少期に生き物図鑑を食い入るように見ていた過去の瞬間と重なる興奮がありました。世の中にはまだまだ未発見の生き物がいると考えるとワクワクせざるを得ません。

 

もっと珍奇な生き物を見せてくれー!!

 

 

f:id:eaidem:20160721180135p:plain「柿次郎さんの興奮はよく伝わりました。もっと改行しろよ!って思うくらいに」

f:id:eaidem:20160721180126p:plain「改行なんて不要でしょ。文字の壁をあえてぶつけたい。で、第4集の『最後のイゾラド 森の果て 未知の人々』が8月7日(日)に放送されるんですよ!」

f:id:eaidem:20160721180135p:plain「はいはい。面白そうなタイトルですね」

f:id:eaidem:20160721180126p:plain「僕がこうやってNHKのドキュメンタリーはすごい!とあちこちで喋ってたらですね。ガリンペイロとイゾラドを担当したNHKの国分ディレクターに取材できることになったんですよ。言い続けることって大事だなぁと」

f:id:eaidem:20160721180135p:plain「えー! 言霊の力!」

f:id:eaidem:20160721180126p:plain「こんな嬉しいことはないじゃないですか。国分ディレクターといえばNHKスペシャルの衝撃作『ヤノマミ 奥アマゾン 原初の森に生きる』を作ったNHKの伝説的な人です。なんたってアマゾンの奥地に住む部族と計150日間、同じ原初の生活を共にした映像ですからね。『え、えー!?』っていうシーンばかり」

f:id:eaidem:20160721180135p:plain「噂では聞いたことのある番組ですね」

f:id:eaidem:20160721180126p:plain「生まれた赤子を人間として育てるか、精霊に返すか…その判断を母親一人が決めるんですけど。精霊に返す場合は生まれたばかりの赤子を殺して、白蟻の巣に置いて火を放つ。この字面だけを見ると無惨な情景を思い浮かべるかもしれませんが、シャーマニズムの宗教観の中で、原初の生態系を維持するために必要な儀式とも言われています。現代の物差しでは決してはかれない。もしかしたら、閉ざされた世界で生きてきた人類にとって珍しいことではないのかもしれません。生と死の価値観が大きく揺さぶられる傑作ドキュメンタリーだと僕は思います。詳しくはNHKオンデマンド、もしくは国分ディレクターの著書『ヤノマミ』を読んでみてください。書籍の方が主観性があって生々しい描写に引きこまれますよ!」

 

ヤノマミ (新潮文庫)

ヤノマミ (新潮文庫)

 

 

f:id:eaidem:20160721180135p:plain「今日はやけに長々と語るなぁ〜!」

f:id:eaidem:20160721180126p:plain「というわけで、国分ディレクターへの取材、そして執筆は任せました」

f:id:eaidem:20160721180135p:plain「え? 僕がやるんですか?」

f:id:eaidem:20160721180126p:plain「はい。僕は編集の立場でしっかりサポートしますので。僕が前衛に立つとバランス崩れると思うんですよね。熱量がありすぎて前のめりになっちゃうというか。あと、ジモコロの編集長業務が忙しくて。書いてない記事が5本ぐらい溜まってるんですよね。いやー、大変大変。いっちょ、お願いします!」

f:id:eaidem:20160721180135p:plain「……」

 

 

 

 

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というわけで、今回は『NHKスペシャル 大アマゾン 最後の秘境シリーズ』の魅力を語ってみましたが、8月4日(木)公開のジモコロでNHKの国分ディレクター(写真右)&菅井カメラマン(写真左)への取材記事を公開予定です。

 

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8月7日(日)21時放送の『最後のイゾラド 森の果て 未知の人々』に繋がる貴重なインタビューをお届けします!

 

第4集は、文明社会と接触したことがない“原初の人々”を追う。

アマゾン源流域、ブラジルとペルーの国境地帯にいるという彼らは、部族名も言語も人数もわからない。「隔絶された人々」という意味の『イゾラド』と呼ばれる謎の先住民族である。

いま、そのイゾラドの目撃情報が相次いでいる。森に猟に入った若者が弓矢で腹を射抜かれた。川辺で遊んでいた少女の足元に数本の矢が飛んできた。イゾラドの集団にとり囲まれた村からSOSが発信された…。

なぜ彼らは、文明社会の領域に、突如姿を現すようになったのか。取材班は、ペルー政府との交渉の末、イゾラドを監視する複数の最前線基地に、テレビ局として初めて滞在。森の彼方から聞こえてくる、「知られざる、しかし私たちと同じ人間の声」に耳を澄ました。

 

 

 

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2時間を超えるロングインタビュー。

話がおもしろすぎて、二人とも魂が抜けたような顔になってしまいました。

 

 

お楽しみに!

 

 

●NHKスペシャル「大アマゾン 最後の秘境」

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http://www.nhk.or.jp/special/amazon/